カーエレクトロニクスの未来

ラインアップの拡充でワンストップショッピングを実現するコンポーネント事業

自律運転やxEVといった自動車の進化には、エレクトロニクス技術が欠かせません。
未来のクルマの鍵を作り出す、ムラタのビジョンをお届けします。

※2018年インタビュー当時の役職です。

代表取締役 専務執行役員
コンポーネント事業本部 本部長
井上 亨

 

自動車のエレクトロニクス化により、ムラタの技術を発揮すべき局面に

どのような市場においても、消費者が第一に求めるのは快適さや便利さだといえるのではないでしょうか。1つの店舗であらゆる買い物ができるデパートは、快適さや便利さの最たるものだといえるでしょう。電子部品の分野においても例外ではありません。ムラタのコンポーネント事業で目指しているのは、まさにデパートのように信頼性の高い製品を幅広く揃えて、お客様に快適なワンストップショッピングをしていただくことなのです。

当社のコンポーネント事業の中心となっているのは、MLCC (積層セラミックコンデンサ) 。長年にわたりMLCCのバリエーションを広げてきたことにより業界No.1の豊富なラインアップを実現し、あらゆるニーズにお応えできる最適なソリューションのご提案を可能として参りました。
さらにお客様に快適なワンストップショッピングをしていただくために、当社はMLCC以外にも製品のバリエーションを増やしています。導電性高分子アルミ電解コンデンサをラインアップに加えるとともに、高温対応、高信頼性、低ESL化といったお客様のニーズに合わせたソリューション提案を追求。ノイズ対策部品インダクタにおいても多種多様な製品を揃えるべく事業展開を進めています。

そして今、ムラタにおいて注力事業の一つに掲げているのが自動車向け製品です。その理由は、自動車のエレクトロニクス化が進む中、ADASの普及やインフォテイメント系の充実により自動車に搭載される分散型ECUの数が増えたこと、パワートレインの電動化に応じた高温対応の部品が求められることなどがあり、当社の技術を発揮するべき局面に来ていると感じられたからに他なりません。

 

製品開発に加えて、M&Aやアライアンスによりワンストップショッピングの実現へ

自社開発による自動車向け製品のラインアップを充実させることはもちろん、同時にM&Aにより外部の技術を取り入れていくことにも力を入れてきました。シリコンキャパシタ自動車用高耐熱フィルムコンデンサへのラインアップ拡充は、M&Aが実りを見せた一例です。コンデンサの高温対応を実現するために、対温度性に優れたシリコンキャパシタを製造しているフランスの会社を買収。これにより、200℃以上の高温環境でも動作を保証できる新しいコンデンサの戦列化が可能になったのです。また、フィルムコンデンサの領域においても高耐熱フィルムの開発を進めており、パートナー企業との合弁事業で、125℃での動作保証ができる製品の実用化の目途が立ちました。さらに、EVの増加やEthernetの普及に伴いパワー系コイルの役割が重要になる中、もともと当社が開発した高周波系インダクタに加えて、自動車向けに適した特性を有するパワーインダクタをラインアップ。このように、ムラタは自社に有していなかった技術を、タイムリーにM&Aやアライアンスにより補完して参りました。

こうして、自社開発製品ラインアップの拡大と外部技術の精力的な導入により、ワンストップショッピングの実現へと邁進してきたのです。

 

将来を見据え、必要な時に必要な製品へ照準を合わせて開発

製品ラインアップを着々と充実させている一方で、今後はどの領域やどの特性を持った製品への需要が高まるかということを、しっかりと見据えることも求められます。必要な時に必要な技術を応用展開していくためには、確かな先見性のもとで照準を合わせて、十分な準備を積まなければなりません。

こうした流れの成功例としては、ムラタではMLCCにおいて、原料や電極材料を社内で開発設計し、大半の生産工程も社内で行っています。その結果、時代のニーズに伴うラジオ→テレビ→VTR→パソコン→携帯電話→スマートフォンという主要セットの変貌にタイムリーに追随して、新製品を供給してくることができました。

高信頼性が求められる自動車市場はスマートフォンとは別の領域ではありますが、お客様のスペックへの要求に応え、他社製品とは差別化した独自の製品を提案、供給するという必要性は同じです。自動車向け製品においても、原材料からすべての工程に至るまでを一貫して社内で対応していくからこそ、市場のニーズに応えられる部分が多いと考えています。このような戦略は、今後もさらに幅広い展開が求められていくでしょう。

お客様から「高品質な電子部品ならムラタに頼めば何でも揃う」と言われるよう、自動車向け製品についてもデパートのように高信頼性製品のラインアップを拡充してまいります。

関連リンク

関連記事