コンデンサ(キャパシタ)
従来、電子機器に多くのタンタルコンデンサやアルミ電解コンデンサが使われていましたが、近年は製品の小型化や信頼性の問題などから、セラミックコンデンサへの置き換えが行われてきました。
電子機器の多機能化や静寂化にともない、ノートパソコンや、スマートフォン(携帯電話)、カーナビ、ワイヤレス充電などの電源回路において、従来目立たなかったセラミックコンデンサが原因の『鳴き(音)』が、大きな設計課題の一つになっています。
ノートパソコンでは、バッテリーラインで使われているセラミックコンデンサによる『鳴き(音)』が問題になることがあります。
スリープ状態/待受け画面など動作モードを変えると、ノートパソコン内部の動作が変わるため、動作モードによって『鳴き(音)』の大きさが変わり、聞こえ方も異なります。
本資料では、ノートパソコンのバッテリーラインのコンデンサによる『鳴き(音)』の対策・評価方法と、発生メカニズムをご紹介いたします。
ノートパソコンでは、バッテリーライン(DC-DC converterの一次側)に、コンデンサが多く使われています。
このバッテリーラインにセラミックコンデンサを使いますと鳴きが発生する場合があります。
ノートパソコンで鳴きが発生しやすい動作モード/音圧レベルの高い動作モードである、スリープ状態/待受け画面についての鳴き対策効果例です。
鳴きの原因になっているコンデンサに対し、鳴き対策を行うことで音圧レベルを低減する効果が得られます。
なぜセラミックコンデンサが原因で『鳴き(音)』が起きるのでしょうか?
鳴きの発生メカニズムと、当社で行っている鳴きの評価方法について、以下でご説明いたします。
積層セラミックコンデンサに用いる強誘電体は、必ず圧電性を有します。
電界をかけると歪みが発生し、チップが膨張・収縮するため、『鳴き(音)』が発生します。
『音』が問題になっていますので、「音圧レベル」が主な測定となります。
無響箱の中で、測定物を動作させた状態にして、マイクを介して、騒音計で音圧レベルを測定します。
また評価・対策のために、FFTアナライザで音圧レベルの周波数特性を確認しています。
鳴きの原因になっているコンデンサを調査するために、「電圧変動」を測定します。
測定物を動作させた状態で、コンデンサに可聴領域周波数(20Hz~20kHz)のリップル電圧が印加されているか確認します。
コンデンサに印加された電圧変動のスペクトラムが、音圧レベルの周波数特性と同じ周波数で高くなっていると(赤点線枠内)、そのコンデンサが鳴きの発生原因と判断できます。
ノートパソコンは、スリープ状態/待受け画面など動作モードを変えると、ノートパソコン内部の動作が変わるため、音圧レベル/電圧変動も変わります。
そのため、鳴きが発生している動作モードおよび鳴きが発生しやすい動作モードそれぞれで評価を行う必要があります。
ピンク色枠で示しているのが、鳴きの原因になりやすいバッテリーラインのコンデンサで、鳴き対策の対象となります。
DC-DC converterで各回路に分岐する前は、同じ電源ラインにあるためほぼ同じ電圧変動をしています。
そのため、このバッテリーラインの全てのコンデンサに対して、鳴き対策を行う必要があります。
バッテリーラインの鳴き対策は、一部のコンデンサだけではなく、全てのコンデンサを鳴き対策製品に置き換えることで、より音圧レベルを低減することができます。
回路[A-C]の順に、通常のコンデンサから、鳴き対策製品に置き換えていきます。
鳴き対策製品に置き換える数量を増やしていくことで、音圧レベルは徐々に低減していきます。
今回の評価で使用したコンデンサ製品
<対策前>
通常のMLCC GRM31MR61E106KA01
↓
<対策後>
鳴き対策品 KRM31FR61E106KH01
当社では、セラミックコンデンサによる影響で鳴きが問題になった場合、鳴きに影響を与える要因によって、鳴き対策製品の使用や部品配置などの提案を行い、鳴き問題の改善に対応をしています。
コンデンサによる鳴きは、コンデンサに電圧が印加され、電圧の振幅にともなって基板が振動し、振幅の周期が可聴領域の周波帯(20Hz~20kHz)となった時、『耳障りな音』として問題になります。
問題になっているのは『音』なので、音圧レベルの測定・評価を行い置き換え効果を確認します。
音圧レベルだけでは、鳴きの原因がコンデンサであるかは確認できません。
鳴きの発生メカニズムを確認するため、電圧変動の測定・評価が必要になります。
(必要に応じて、基板の変位量の測定・評価も行います。)
ノートパソコンでは、バッテリーライン(DC-DC converterの一次側)にコンデンサが使われています。
このバッテリーラインは、一般的に電圧が高く、また消費電力の大きい回路に電力を供給するため、電圧変動が起きやすいので、鳴きが発生しやすい部分になります。
動作モードを変えると、ノートパソコン内部の動作も変わり、音圧レベル/電圧変動/基板の変位量も変わるため、鳴きが発生しやすい動作モードそれぞれで評価を行う必要があります。
バッテリーライン(DC-DC converterの一次側)にセラミックコンデンサが複数使われている場合、バッテリーラインのコンデンサの一部を鳴き対策するのではなく、同じバッテリーライン全てのコンデンサを鳴き対策することで、音圧レベルをより低減することができます。