6DoFジャイロ加速度コンボセンサ SCH16Tシリーズ 産業用途向け
村田製作所(以下、ムラタ)はモビリティ産業に関する最新技術などを紹介する展示会「Japan Mobility Show 2025」(以下、「ジャパンモビリティショー2025」)に出展しました。高精度なセンサが実現する自律型モビリティを披露しています。目指すのは「人に寄り添う」をキーワードとした2035年の未来社会。今回の展示会に込めた想いについて、担当者に取材しました。
ジャパンモビリティショーが10月30日に開幕を迎えるにあたり、29日にプレスデーが開催されました。ムラタのブースで披露されたのは、muRataのロゴを印字したロボットが人のあとをついていくという実演です。先を行く人が止まるとそれに合わせて止まり、曲がるとその後を追うように曲がるといった様子はまるで良き伴侶のよう。その挙動に注目が集まっていました。
「街を走る車などのモビリティは今後、“乗り物”ではなく、生涯寄り添っていく“パートナー”へと姿を変えていく」。車載営業部の渡嘉敷涼之氏は、未来社会を見据えて、モビリティの変化をこう話します。
今回ジャパンモビリティショー2025でムラタは「Tokyo Future Tour 2035」というプログラムに参加。Tokyo Future Tour 2035はジャパンモビリティショー内の未来社会を体験する特設プログラムで、10年後の未来をテーマに、モビリティの進化や道路インフラの変化などを紹介した各社の展示が並びます。ムラタはこのなかで、2035年について「モビリティとロボットが融合し、人に寄り添う未来社会」を思い描きます。「現状のモビリティが抱える様々な課題を解決していきたい」(渡嘉敷氏)という想いのなかで、湧き上がってきた未来予想図です。
2035年の社会に向けて、ムラタはどのような形で貢献ができるのか――。
その方策の一つとして提示するのが、先ほど登場した「6軸ジャイロ加速度コンボセンサ×Visual SLAMソフトウェアテクノロジー」を活用したデモ機です。
SLAMとはSimultaneous Localization and Mappingの略で、自己位置の推定をしながら周囲の環境を把握し、地図作成を行う技術を指します。こうした情報処理にカメラで取得した映像などを用いるものを、Visual SLAMと言います。倉庫でのAGV(無人搬送車)の自律走行やドローンの自律飛行などに用いられている技術です。
先ほど披露されたデモ機はこのVisual SLAMと呼ばれる技術を搭載していますが、加えてムラタが手掛ける「6軸ジャイロ加速度コンボセンサ」も採用しています。
この「6軸ジャイロ加速度コンボセンサ」は、人間の「三半規管」のような役割を果たします。
加速度センサと角速度を検知するジャイロセンサを組み合わせることで、カメラによる自己位置推定を補強し、より高精度な位置認識を可能にします。ムラタは独自の3D-MEMS技術*1を用いて、自動車向けにこうしたジャイロ加速度コンボセンサを提供しており、モビリティ業界で必要とされる高い品質基準をクリアしてきました。
*1 3D MEMS(3次元・マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術:シリコンを3次元構造に微細加工し、カプセル化した上で高精度に組み立てることで、高いセンサ精度、小型化、低消費電力を同時に実現する技術。
では、なぜムラタのこうした技術が必要となっていくのでしょうか? モビリティ・ロボティクス事業推進課の大川明克氏は、これまで「モビリティは移動」と「ロボットは作業」とそれぞれ独立していたなか、「移動しながら並行してなにかの作業にも取り組む」という、モビリティとロボットが融合した新たなマシンが登場し、人々の生活がより便利で快適になるのでは、と想定しています。
そのうえで、「人とモビリティやロボットがより近い距離で協同作業をするようなケースも考えられる。そうした未来で、変化する環境や作業内容に柔軟に対応しながら安全に作動するためには、高い精度での自己位置推定を実現する部品が欠かせない」と訴えます。
モビリティ向けの高い品質を実現してきたムラタのモノづくりの強みが、未来のモビリティ・ロボットの社会にも活かしていけると考えています。
ジャパンモビリティショー2025で披露したデモ機は、例えばベビーカーや荷物運びロボットといった用途での利用が考えられます。ただ、渡嘉敷氏は「定番の使い方を考えるだけでは面白くない。ワクワク感を持って未来のことを『妄想』していきたい」と話します。
ジャパンモビリティショー2025では一般来場者の方のフィードバックを重視するとともに、新たなパートナー企業探しにも取り組む予定です。「ムラタ単体でやっているだけでは視野が狭くなる。未来を想像し、創造していくにあたって、パートナー企業との出会いを大切にしていきたい」と強調しました。
ジャパンモビリティショー2025は、東京都江東区の東京ビッグサイト(東京国際展示場)で10月31日より一般公開し、11月9日まで開催します。ムラタは「Tokyo Future Tour 2035」内にブースを構えています。一般の方の来場にあたっては、チケットの購入が必要です。詳しくは、ジャパンモビリティショー2025の公式サイトをご確認ください。
またムラタの展示会サイトはこちらです。ムラタの担当者は「実はムラタにとってジャパンモビリティショーへの出展は今回が初めてです。新たな気づきにつなげていただけるような体験展示を設けていますので、ぜひ足をお運びください」と呼びかけています。