ノイズ対策ガイド

ノイズ対策の基礎 【第9回】 電波吸収シート

今回は電波吸収シートです。電波吸収シートは各社からいろんな種類のものが商品化されていますが、ここでは(株)村田製作所が商品化しているものについて紹介します。 

図1 電波吸収シート

<2つの原理の電波吸収シート>

電波吸収シートが電波を吸収する原理には2種類あります。

図2 電波吸収シートの構造

図2の左側が前回紹介したフェライトコアと同様に材料の磁気損失により電波のエネルギーを吸収するタイプです。構造としてはシリコンその他のゴムでできたシートの中にセンダストやフェライトといった磁性材料の粉末を練り込んだものになります。このシートに入射した電波は磁性体の中に磁場を発生させ、その磁場が電波のエネルギーに還元される際に一部のエネルギーが失われ吸収されます。このため、使用する磁性材料によって効果のある周波数が異なってきますが、およそ数百MHz~数GHzの広い周波数範囲に効果があります。
図2の右側は違った原理で電波を吸収します。このシートは図3に示すようにシートの表面と裏面で電波を反射するようになっています。反射された両者の電波は吸収体から離れるときに重なりますが、それぞれの行程に距離の差があるために位相差できて、特定の周波数(波長が吸収体の厚みの4倍になる周波数)では表面で反射された電波と裏面で反射された電波の位相が180°ずれるため両者は打ち消しあい、結果として電波が消滅します。実際には両者の振幅が同じわけではないのである程度残りますが、かなりの割合が消滅することになります。このタイプの電波吸収体はその性質上、特定の周波数で大きく電波を吸収し、それ以外の周波数ではあまり吸収しません。また、波長と厚みの関係から、数GHz~数十GHzの周波数帯域に効果があります。

図3 EA10シリーズの電波吸収の仕組み

<電波吸収シートの使われ方>

磁気損失によって吸収するタイプの電波吸収シートはフェライトコアと同様にEMI対策としての使い方がされます。シート状の形状が一般的であるためケーブルに巻きつける使い方はあまりされず、基板に貼りつけたり、筺体の内側に貼りつけたりされることが多いです。(図4) 貼り付ける際はユーザー側で貼り付ける材料を用意することもできますが、裏にシール状のノリのついた状態のものを購入して使うのが一般的です。また、一部のシートでは熱伝導率の高い材料を使用しており、放熱材料としての効果も期待できるものがあります。

図4 EA20/21/30シリーズの利用例

一方、反射波の位相差を用いて吸収するタイプは効果のある周波数が限定されるので、特定の周波数の電波を吸収することに使われます。図5はCSコンバータ内の電波干渉を防止するために使用した例です。このほか、ETCゲートのアンテナで隣のレーンに電波が飛ぶのを防止するためにこのタイプの吸収シートを使用することもあります。

図5 EA10シリーズの利用例:BS/CSコンバータ

担当:村田製作所 コンポーネント事業本部 販売推進部 WEBソリューション課 三屋 康宏

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