ノイズ対策ガイド

ノイズ対策の基礎【第10回】チップフェライトビーズ使用上の注意

ノイズ対策の基礎は第9回まででひと通りの説明を終了しましたが、続編としてノイズ対策部品を使用する際に注意すべき点や、ちょっと困ったときの対処法について思いつくまま解説をしていこうと考えています。その第一弾はチップフェライトビーズです。

1. チップフェライトビーズの直流重畳特性

第4回で紹介したように、チップフェライトビーズはフェライトを使用したインダクタの一種です。このため、大電流が流れる際は磁気飽和によって性能が変化することに注意する必要があります。
図1はチップフェライトビーズに電流を流した時のインピーダンス値の変化の例です。

図1 チップフェライトビーズの直流重畳特性の例

このように、チップフェライトビーズに大電流が流れるとインピーダンス値が低下するため、大電流が流れる場所で使用する際には期待した効果が得られない場合があります。このようなときは、定格電流に余裕を持った部品を選んだり、初期インピーダンスの高い部品を選んだりといった工夫をする必要があります。ただし、フェライトビーズの磁気飽和が発生するのは大きな電流が流れた時だけで電流が低下すれば性能は元に戻りますので、一瞬だけ電流が増加するような回路では問題にならない場合もあります。(その一瞬の磁気飽和が障害になる場合もありますが...) この影響をこまかく追うのは難しいので、実機評価でフェライトビーズがうまく働いていないように思える場合に磁気飽和を疑うといった対処がよいと思います。

2. フェライトビーズによる信号波形にオーバーシュート・アンダーシュートの対策。

フェライトビーズをデジタル回路に使用した場合、波形にオーバーシュートやアンダーシュートが現れる場合があります。(図2)

図2 チップフェライトビーズによるオーバーシュート・アンダーシュートの例

これはフェライトビーズのインダクタンスと回路の他の部分の静電容量(ICの入力容量など)が共振を起こして発生するもので、インピーダンスカーブが急峻なタイプのフェライトビーズに発生しやすい現象です。これを改善するためには、フェライトビーズと直列にダンピング抵抗を入れる方法があります。ダンピング抵抗を入れることによって共振のエネルギーが抵抗で吸収されるため、共振が小さくなりオーバーシュート・アンダーシュートが低減されます。(図3)

図3 ダンピング抵抗による改善例

ただし、ダンピング抵抗を使用するとその分電圧降下が発生しますので、信号の波高が低くなって問題が発生しないか注意が必要です。フェライトビーズはインピーダンスカーブが急峻なほど内部損失が小さく共振が発生しやすく、ゆるやかなほど共振しにくい性質を持っていますので、必要以上にインピーダンスカーブが急峻なものを使用しないということもオーバーシュート・アンダーシュートを予防することにつながります。

今回はチップフェライトビーズについてでしたが、次回はチップ三端子コンデンサについての注意点などを紹介します。

 

担当:村田製作所 コンポーネント事業本部 販売推進部 WEBソリューション課
三屋 康宏

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