ノイズ対策ガイド

スマートフォン音声回路向けノイズフィルタの紹介

1. はじめに

スマートフォンには、2G/3G/LTE無線LAN、Bluetooth®など無線通信機能が搭載されています。利用者にとっては高機能化することで、ますます使い勝手がよくなるスマートフォンですが、一方で複数の無線通信機能が搭載されると、各回路からのノイズ回り込み問題や、その問題に起因する受信感度劣化に対する設計変更など、スマートフォンの設計者は多くの時間と労力を割いて対応しているのが現状です。

一般的にスマートフォンは、メイン基板からFPC(Flexible Printed Circuit)などを介してスピーカーと接続しています。また、このFPCがノイズを放射するアンテナとなって、問題を引き起こしている場合が多くあります。

ここではスマートフォンの音声回路に使用されるノイズフィルタの性能と、使用上の注意点について紹介します。

2. 感度抑圧を改善させるノイズフィルタ

セルラーや無線LAN通信の通信性能の指標の一つに、搬送波電力と雑音電力の比で表すC/N比があります。

搬送波電力と雑音電力の比で表すC/N比
 

この式は搬送波電力を一定とすれば、雑音電力を小さくすることは通信性能(C/N比)が高くなることを意味しています。スマートフォン内部で発生したノイズがアンテナに干渉すると、受信感度が低下し、通信品質が悪くなります。そのため、C/N比の改善、即ちノイズフィルタによってノイズを抑える必要があります。

ノイズフィルタの性能としては、各通信周波数帯で高いノイズ除去特性が求められます。これをインダクタ型ノイズフィルタで実現するためには、無線周波数帯をカバーするだけの幅広いインダクタンスの選択肢があることが望ましいです。

図1. 各通信周波数帯格とインダクタ型ノイズフィルタのインピーダンス特性
図1. 各通信周波数帯格とインダクタ型ノイズフィルタのインピーダンス特性

3. 音声品質に影響を与えるノイズフィルタ

最近では、ハイレゾリューション(ハイレゾ※高解像度)音源という音の太さ・繊細さ・奥行き・圧力などを表現できる情報量の多い音源を容易にネット上で入手できるようになりました。

そのため、これを再生する機器であるスマートフォンに対しても、より良い音声品質が求められるようになってきています。

一方、図2に示すように一般的なノイズフィルタは音声の信号波形を歪ませ、音声歪を発生させる問題を抱えています。高品質再生が求められるスマートフォンには、実使用周波数帯域において限りなく音声歪みが小さいノイズフィルタが必要となっています。

図2. ノイズフィルタによる音声歪み

一般的に、音声信号における歪みの度合は、THD+N(Total Harmonic Distortion + Noise)という値で表され、値が小さいほど音質がよいことを表します。

図3は、一般的なノイズフィルタと音声回路に特化したノイズフィルタのTHD+N特性の比較データです。音声回路特化型ノイズフィルタ(NFZシリーズ)はノイズフィルタなしと同等の特性であり、音声品質に与える影響は限りなく小さいことを意味しています。

図3. 音声歪特性(THD+N特性)
図3. 音声歪特性(THD+N特性)

4. まとめ

スマートフォンの音声回路は、高品質化・大出力化のトレンドが進むと考えています。

同時に、デジタル情報が各通信回路への電磁波干渉の問題を引き起こし、スマートフォンの設計の難易度は確実に増していく傾向にあります。

そのため音声回路に要求されるノイズフィルタの性能は下記2点が重要です。

  • 受信感度劣化を改善させるために「通信帯域で高インピーダンス特性」を有している。
  • 音声品質への影響を考慮して「優れた音声歪み特性:THD+N特性」を有している。

音声回路向けに推奨するノイズフィルタを表1、表2に示します。

表1 音声回路(イヤホンライン)向け 推奨ノイズフィルタ
表2 音声回路(ラウドスピーカー)向け 推奨ノイズフィルタ

最後に、株式会社 村田製作所は一般的なノイズフィルタ(BLMシリーズ)に加え、NFZシリーズやLQW_CAシリーズをはじめとする音声回路に使用できるノイズフィルタを商品化し、スマートフォンが抱えるノイズ問題のソリューション提供を行い、スマートフォン機能の更なる発展に貢献していきたいと考えています。

【ノイズフィルタWeb関連リンク】

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株式会社 村田製作所
EMI事業部 商品技術部 商品技術1課

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