コンデンサガイド

積層セラミックコンデンサのひずみクラックを防ぐには?

みなさん、こんにちは!今回は、電子機器に欠かせない存在になっている積層セラミックコンデンサ(以後チップと表記します)。今回はこのチップで起こりうる「ひずみクラック」という現象についてご説明します。
チップは適切な取扱いをすれば、全くクラック(ひび割れ)は入りません。しかし、セラミックで出来ており茶碗やお皿と同じ焼きものであるため過度の機械的な力を加えるとクラック(ひび割れ)が入ることがあります。
そこで今回は、ひずみクラックが発生するメカニズムを説明させて頂き、ひずみクラックを防止する術を身につけて頂こうと思います。

1. ひずみクラックとは?

まずは、図1でひずみクラックとは、どのようなものか見て頂きましょう。ひずみクラックとは、ひずみによって発生したクラック(ひび割れ)のことです。ひずみクラックは、チップの外からは見つけることが難しいです。そこでチップを以下のように切断して、切断面を研磨した画像をお見せしています。
特徴として、外部電極端から斜め方向にクラックが生じているのが確認できます。

図1 代表的なクラックの一例

2. ひずみクラック発生のメカニズムは?

では何故このようなクラックが発生するのでしょうか?それはチップがはんだで基板ランド上に実装されているからです。基板に過度の機械的な力が加えられて曲げられたり、ひねられたりすることで、ひずみクラックが発生します。

基板が反った場合にどうなるか見て行きましょう。
図2のように上面部は伸び、下面部は縮みます。上面の伸びにより、銅ランドが左右に移動します。

図2 基板変形と応力図

ランドの移動に伴いはんだが移動・変形します。はんだが変形する事でチップの外部電極が移動・変形し、チップの外部電極端に引張応力が集中します。
この引張応力がチップ誘電体の強度を上回るとクラックが生じます。

図3 ひずみクラック発生のメカニズム

3. ひずみクラックによる影響は?

ひずみクラックが下面の外部電極端から上面の外部電極まで入ると容量が低下したり、回路的に開放(オープン)となります。また、そこまでひどいクラックで無くても、チップ内部電極に到達するとはんだフラックス中の有機酸や湿気がクラックの隙間を通じて侵入し、絶縁抵抗が劣化する場合があります。また電圧負荷が高く電流が多く流れると、最悪の場合、ショート状態に至ります。

ひずみクラックが入ると外観選別などで除去することは困難なので、クラックを発生させないために過度の機械的な力が加わらないようにコントロールすることが大事です。

4. ひずみ量とは?

ひずみクラックを発生させない為には、製品を作っている現場で過度の機械的な力を加えないようにすれば良いわけです。では、加えられる過度の機械的な力を見える化出来る良い方法はあるのでしょうか?その一つの有効な方法として、ひずみ量を測定することが挙げられます。先ず、ひずみ量について説明しましょう。
ひずみとは、物体に荷重がかけられた時の単位長さあたりの変化量を言います。
この時の伸びの比率をひずみ量と言います。

    ε=ΔL/L ε:ひずみ量、L:力を加える前の長さ、ΔL:変形長さ

例えば、1000mmの棒が左右に引っ張られて1001mmになった場合
1mm/1000mm=0.001ST=1000μSTとなります。

5. ひずみクラックの発生を防ぐには?

ひずみクラックを防止する為には、基板設計面と工程管理面の2つの対策があります。先ず、工程管理面からの対策を紹介します。先ほど説明したひずみ量を測定することによって工程でのひずみ量管理を行って行きます。最初に基準とするひずみ量を設定します。小さい値にすれば厳しく管理することになります。また大きい値に設定するとひずみクラックが発生してしまいます。命に関わるような製品を製造されているお客様では500μSTを、民生関係の製品を製造されているお客様では1000μSTを基準にしておられることが多いようです。おなじ基板歪であっても、使用される基板の種類や厚みなどによって部品へのストレスは異なりますので、お客様の判断で経験的に基準を設けられているのが実情です。

次に各工程でのひずみ量を測定します。弊社が、過去に調査させて頂いた案件からどのような作業工程で、ひずみクラックが発生しているかをまとめました。管理を重点的にして頂きたい工程になります。

表1 実装作業とひずみクラック発生の可能性
No 作業名 不具合発生
1 はんだペースト印刷  
2 部品マウント
3 リフローはんだ付け  
4 リード部品の挿入
5 フローはんだ付け  
6 基板分割
7 電気的特性
8 基板取扱い(ソケット差込、ネジ緩め、ハンドリング、反り修正)
9 運搬作業(落下、振動)

△・・・頻度は非常に少ないが可能性があるもの

○・・・頻度は少ないが可能性があるもの

◎・・・頻度良く経験しているもの

設定した基準を超える工程に関しては設備改善、作業改善等を行って、ひずみ量を抑制します。

次ページでは、設計面での主な防止策を紹介します。

設計面での主な防止策

①基板端、ネジ穴、コネクタからの距離
(例えば10mm以上の距離を設けるなど、適切な距離をとる。)
②配置
(一般には分割ラインに対して平行に配置するのが良い。基板隅やL字基板での折れまがった部分など応力が集中しやすい場所にはチップを配置しないのが良い。)
③分割時ラインの選択
(ミシン目よりスリットを設ける方が良い。)
④ランドの幅
(C寸法はチップのW(幅)寸法より小さい方が良い。)

図4 ランド寸法

⑤パターン配置設計
(プリント基板がリフローで変形しないような銅箔パターン設計を工夫する。)
⑥樹脂外部電極品の採用
(ひずみが大きいと考えられる所には樹脂外部電極品を採用する。)
などが上げられます。

いままで弊社が国内外で携わらせて頂いた、ひずみ測定や基板設計においてアドバイスをさせて頂くなかで、ひずみクラック解決に関する様々なノウハウを培ってきました。
今後も引き続きお客様の困りごとを解決していきたいと考えております。

この記事を読んで次のような感想を持たれた方はおられませんか?
・まだピンと来ない。
・ひずみの測定についてもっと具体的に知りたい。
・基板設計時に検討すべきことを具体的に知りたい。

そのような方は、メールでのお問合せも承っておりますので、遠慮なくお申し付けください。

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