コンデンサガイド

セラミックコンデンサの絶縁抵抗と漏れ電流

コンデンサの電極間は絶縁されているため、理論的には抵抗値が無限大になります。
しかし、実際のコンデンサは絶縁されている電極間に僅かな電流が流れているため、有限の抵抗値が存在します。
この抵抗値を「絶縁抵抗」と呼び、単位は抵抗[MΩ]またはCR積[Ω・F]、[MΩ・μF]で表します。

絶縁抵抗の挙動

実際のコンデンサに直流電圧を印加した場合、図1に示すように直流電圧を印加した直後は、充電電流と呼ばれる突入電流が流れますが、徐々にコンデンサに電荷が充電されてくると流れる電流は指数関数的に減少していきます。

セラミックコンデンサの絶縁抵抗と漏れ電流のイメージ画像1
図1

時間t経過後に流れる電流I(t)は、以下の(式1)にあるように3種類の電流に分けられ、Ic(t)を充電電流、Ia(t)を吸収電流、Irを漏れ電流と呼びます。

I(t) = Ic(t) + Ia(t) + Ir ……(式1)

充電電流は、理想コンデンサに流れる電流を示し、吸収電流は、充電電流よりも遅れて流れ、低周波での誘電損失、高誘電率系(強誘電体)における分極反転、セラミックスと金属電極界面にできるショットキー障壁に伴う電流になります。

漏れ電流は、吸収電流の影響が少なくなった一定時間後に流れる一定の電流です。

したがって、コンデンサへの電圧を印加する時間によってその流れる電流値は変化するため、コンデンサの絶縁抵抗は電圧印加後に測定する時間を規定しないと一義的には決められないことになります。
セラミックコンデンサの絶縁抵抗は、コンデンサの端子間にリップルのない直流電圧を加えて、一定時間経過(たとえば60秒間)後の印加電圧と漏れ電流の比で表します。
なお、充電電流、吸収電流、漏れ電流を明確に区別することはできません。

絶縁抵抗の単位

前述の通り、絶縁抵抗の単位は、抵抗[MΩ]、またはCR積[MΩ・F]で表します。
CR積[MΩ・F]は公称静電容量と絶縁抵抗の積です。
品番によって単位が異なりますので、各品番の詳細スペックシートでご確認ください。

CR積[MΩ・F]から絶縁抵抗[MΩ]を計算する方法
例:CR積が500Ω・F以上、静電容量1μFの場合
→ 500ΩF/1μF=500MΩ以上

上記より、静電容量が大きくなるほど絶縁抵抗は小さくなります。その理由を以下に示します。

セラミックコンデンサの絶縁抵抗と漏れ電流のイメージ画像2

絶縁抵抗はセラミックコンデンサを導体として見たときの印加電圧、電流のオームの法則の関係で考えることができます。
導体の長さをL、断面積をS、比抵抗をρとすると、抵抗値Rは(式2)で表されます。

R = ρ・L/S ……(式2)

また同じように積層セラミックコンデンサの電極間距離(素子厚)をL、内部電極面積をS、誘電率をεとすると、静電容量Cは(式3)で表されます。

C ∝ ε・S/L ……(式3)

(式2)と(式3)より、(式4)が導き出され、これらの関係よりRとCは反比例の関係にあります。

R ∝ ρ・ε/C ……(式4)

絶縁抵抗が大きいということは、直流電圧下における漏れ電流が小さいことを示すため、一般的に回路上において、絶縁抵抗値は高い方が、性能が良いとされています。

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