ノイズ対策ガイド

ノイズ対策の基礎 【第2回】 ノイズ対策の考え方

【ノイズはなぜ出るの?】

前回は、電子機器の電磁ノイズが問題になり、ノイズ対策が必要だというお話をしましたが、まず思いつくことは、「そもそもノイズが出ないように設計すれば、ノイズ対策なんて必要なくなるのでは?」ということです。そういう設計ができればそれでよいのですが、実はそううまくいかない事情があります。その事情とは...

「デジタル回路では、信号の一部がノイズになる」

ということです。
デジタル回路では、一般に矩形波(一定時間ごとに2つの値の間を行ったり来たりする四角い波)の信号が使われます。ところが、この矩形波というのは、非常に多くの周波数成分を持っています。

矩形波の例

次の図は、正弦波の高調波(基本波の整数倍の周波数をもつ波)を重ね合わせていった例ですが、高調波の数が多いほど矩形波に近くなることがわかります。矩形波は、この高調波を延々と重ね合わせたものに相当します。

 

つまり、デジタル回路で使われる矩形波には、非常に多くの周波数成分が含まれており、周波数の高い成分も多く含まれていることになります。
一方、導体を交流が流れると多かれ少なかれ電波として放射されますが、高周波の電流ほど電波として放射されやすくなります。このため、ノイズ規制では高周波の放射を規制しています。以上のことから、デジタル回路においては、回路を流れる矩形波の信号の一部がノイズとして規制されることがわかります。つまり、デジタル回路が動作する限り、ノイズ電波が放出されることになります。

ところで、先ほどの図をみると、高次の高調波を含んでいなくてもある程度矩形波に近くなっていることがわかります。このため、デジタル信号のうち周波数の高い部分だけを取り除けば、矩形波に近い波形を保ったままノイズとして問題になる高周波成分を除去できることになります。この理屈を使ったのがローパスフィルタとしてのEMI除去フィルタです。この、「高周波部分だけ取り除く」という作業には加減が難しく、あまり低い周波数まで取り過ぎると信号波形が崩れてデジタル素子の動作タイミングが狂ったり、誤動作したりしまいます。逆に、あまり取らないと十分なノイズ対策ができなくなります。このため、さまざまなノイズ対策部品が用意されており、どの部品を使うかが重要になってきます。

【その他のノイズ源】

実際は、ノイズの原因となるのはデジタル回路の矩形波の高調波成分だけではありません。スイッチング電源のスイッチングノイズ、モーターのブラシノイズなど、別の要因によるものもいろいろあります。ただ、ノイズ規制がされているのが電波として飛びやすい高周波領域であるということから、デジタル回路のノイズ対策同様ローパスフィルタで対策するのが一般的です。

次回は、ローパスフィルタとしてのノイズ対策部品の原理について解説します。

 

担当:村田製作所 コンポーネント事業本部 販売推進企画部 三屋 康宏

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