ノイズ対策技術 / 事例紹介(自動車)

ADASを見据えた車載Ethernet 1000Base-T1ノイズ対策-4

8. イミュニティ(DPI)試験対策

DLW32SH101XK2は生産中止となりました。

伝導エミッションと同様の1000Base-T1 EMC Test Boardを用いてDPI(Direct Power Injection)試験を行いました。

イミュニティ(DPI)試験対策のイメージ画像1

周波数

1 - 1000MHz

Power(MAX)

39dBm

Power Step

0.5dB

EUT

1000Base-T1 EMC Test Board

DC Power Supply

GP035-5(Takasago)

Signal Generator

SML02(Rohde&Schwarz)

Power Amplifier

BSA1040-100 (1-400MHz)  
BLWA4010-100 (400-1000MHz)

1000Base-T1EMC評価ボード上の信号ラインに対し外部からコモンモードノイズを注入し、制御PCにおいて通信エラーの有無を確認しました。

イミュニティ(DPI)試験対策のイメージ画像2

評価用CMCCとして伝導エミッションと同様に、1000Base-T1用CMCCであるDLW32MH101XT2、100Base-T1用DLW43MH201XK2、CAN用DLW32SH101XK2を用いました。

ディファレンシャルモード伝送特性のイメージ画像
Sdd21(ディファレンシャルモード伝送特性)
コモンモード伝送特性のイメージ画像
Scc21(コモンモード伝送特性)
ディファレンシャルモード反射特性のイメージ画像
Sdd11(ディファレンシャルモード反射特性)
モード変換特性のイメージ画像
Ssd12(モード変換特性)

1000Base-T1のDPI試験結果

2MHz以下の低周波ではCMCCによってレベルに差が生じましたが、それ以外では実力に差がなく、全て限度値を満たしました。

1000Base-T1のDPI試験結果のイメージ画像

1000Base-T1のDPI試験結果

2MHz以下でのCMCCによる違いは、Scc21によると考えられます。モード変換特性による違いはDPI試験に影響しませんでした。

1000Base-T1のDPI試験結果のイメージ画像

9. イミュニティ(DPI)試験対策のポイント

100Base-T1のDPI試験結果

1000Base-T1に続き、100Base-T1においてDPI試験を行った結果、100Base-T1用のCMCCでは限度値を満足しましたが、CAN用CMCCを用いると1MHz以下の低周波で100Base-T1用CMCCより実力が劣る他、8~60MHzで限度値を下回り、NGとなりました。

100Base-T1のDPI試験結果のイメージ画像1

2MHz以下における違いはScc21によると考えられます。また8~60MHzにおける違いはモード変換特性によると考えられます。

100Base-T1のDPI試験結果のイメージ画像2

ノイズ侵入メカニズム

100Base-T1においてCMCCのモード変換特性が試験結果に影響を与えた原因として、外部から注入されたコモンモードノイズがディファレンシャルモードノイズに変換され、信号波形を歪ませることで通信エラーを誘発したと考えられます。

ノイズ侵入メカニズムのイメージ画像

ボード設計における注意点

伝導エミッションと同様にCMCC以外に、ボード上のアンバランスによるモード変換が影響することも考えられるため、ボード設計には注意が必要です。

ボード設計における注意点のイメージ画像
モード変換が発生すると考えられるポイント

10. まとめ

  • 車載Ethernet規格1000Base-T1では、ノイズ対策に用いるCMCCに高性能が求められ、特にモード変換特性が重要になります。
  • 伝導エミッション評価においては、ノイズを抑制するために1000Base-T1の要求値を満たしたモード変換特性を持つCMCCが必要です。CAN用又は100Bas-T1用CMCCでは限度値を満たせません。
  • 1000Base-T1用CMCCを用いてもボードの設計や実装する部品の偏差によりモード変換特性が悪化し、ノイズが増加することがありますので、設計には注意が必要です。
  • イミュニティ試験であるDPI試験では伝導エミッションよりCMCCの要求性能は低いのですが、PHYによってノイズ耐性は異なるため、モード変換特性は低い方が望ましいです。

この記事で紹介した車載Ethernet用CMCC

DLW32MH101XT2

1000Base-T1用

1. 自動車車内ネットワークの信号ラインから放射されるノイズ対策に効果的です。

2. 車載Ethernet規格1000Base-T1適合

3. 自動車用途に対応した使用温度範囲(-40~125℃)

製品詳細はこちら

DLW43MH201XK2

100Base-T1用

1. L4.5×W3.2×T2.7mm 寸法公差±0.2mmの小型タイプ

2. 小型ながら200μH (at 0.1MHz) のコモンモードインダクタンスを実現

3. モード変換特性を大幅に改善

製品詳細はこちら

対応I/F品番サイズコモンモードインダクタンス定格電流
1000Base-T1DLW32MH101XT23.2×2.5mm100μH typ100mA
100Base-T1DLW43MH201XK24.5×3.2mm200μH typ110mA

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