ノイズ対策技術 / 事例紹介(自動車)

CAN FDのノイズ対策-2(2/2)

4. ノイズ対策による効果

コモンモードチョークコイルによるノイズ対策効果の確認

コモンモードチョークコイルによるノイズ抑制効果を評価するため、CAN FDトランシーバをシグナルジェネレータで駆動し、CAN-HおよびCAN-Lラインのコモンモードノイズをスペクトラムアナライザで観測しました。3種類のコモンモードチョークコイルを挿入して、それぞれの効果を確認しました。

コモンモードチョークコイルによるノイズ抑制効果を評価するイメージ図。

シグナルジェネレータのビットレート増加にともない、ノイズレベルが増加していくことがわかります。
また、3種類のコモンモードチョークコイルのうち、DLW32SH101XF2が比較的ノイズ対策効果が高いことがわかりました。DLW32SH101XF2は、いずれのビットレートにおいても効果的にノイズを抑制することができています。

ビットレートの違いによる、DLW32SH101XF2のノイズ対策効果を表すグラフ。500kbps。
ビットレートの違いによる、DLW32SH101XF2のノイズ対策効果を表すグラフ。2Mbps。
ビットレートの違いによる、DLW32SH101XF2のノイズ対策効果を表すグラフ。5Mbps。
コモンモードチョークコイルの違いとグラフの色を表すイメージ図。

伝導エミッション対策効果の確認

次に、DLW32SH101XF2のノイズ対策効果を伝導エミッション測定(150Ω法)で確認しました。本測定はIEC 62228-2:2019が規定する "Emission of RF Disturbances" に準拠しています。

DLW32SH101XF2のノイズ対策効果を伝導エミッションで測定するイメージ図。

DLW32SH101XF2を使用することにより、伝導エミッションで最も厳しい限度であるClass IIIを満足することができました。

DLW32SH101XF2のノイズ対策効果を伝導エミッションで測定したときのグラフ。

イミュニティ対策効果の確認

続いて、イミュニティ対策効果を確認するために、イミュニティ試験のひとつであるDPI(Direct Power Injection)試験を行いました。本測定はIEC 62228-3:2019が規定する "Immunity to RF Disturbances" に準拠しています。

DLW32SH101XF2のイミュニティ対策効果を確認するDPI試験のイメージ図。

DPI試験においても、DLW32SH101XF2を使用することにより、最も厳しい限度値であるClass IIIを満足することができました。

DLW32SH101XF2をDPI試験で測定したときのグラフ。

5. まとめ

  • CAN FDにおいてはコモンモードノイズが問題となることが多い
  • コモンモードチョークコイルはコモンモードノイズを効果的に除去することができる
  • モード変換によるコモンモードノイズ発生を防ぐために、コモンモードチョークコイルのモード変換特性も重要となる
  • DLW32SH101XF2は、伝導エミッション対策、DPI対策のいずれにおいても有効である

ムラタが推奨するコモンモードチョークコイル

推奨するコモンモードチョークコイルの性能を表すグラフ。

CAN FDで求められる性能をクリアしたコモンモードチョークコイル

部品サイズ : 3.2×2.5mm

コモンモードインダクタンス : 100μH-30%/+50%(at 0.1MHz)

関連製品

関連記事