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ムラタの土壌センサは農業をどう変える? 施設園芸、果樹や露地でも灌水管理がスマートに

この記事は、若手農業経営者・新規就農者向けのライフ&ビジネスメディア「AGRI JOURNAL(アグリジャーナル)」に2022年10月6日に掲載された記事広告を再編集したものです。

農業の理想のひとつは「文化の発展、環境、経済、生物、地域がバランスよく持続性を保つこと」ではないでしょうか?そんな理想の実現へ貢献する高性能な土壌センサの量産を、村田製作所(以下、ムラタ)が開始しました。

ムラタは高性能な土壌センサで農業生産の課題解決に貢献します

一部の施設園芸生産者は、土壌センサの利用により、培地の水分量・肥料濃度などを作期を通じて常に計測し、その値を適切に管理することで、高収量を上げ、高品質を保ち、効率化を図っています。
 
そんな高度な栽培管理を、施設園芸のみならず、露地野菜栽培や果樹栽培などでも行う時代が来るかも知れません。ムラタは、そんな未来のスマート農業に貢献できる、高性能な土壌センサの量産を2022年5月に開始しました。当製品を開発した背景のひとつとして、日本農業界が直面している課題を解決したい、というムラタの想いがありました。
 
日本では、水稲から露地野菜や根菜、施設園芸から果樹まで、多様な作物が生産されています。ところが、この日本農業を支えている農業従事者の高齢化と減少とが同時に、かつ急激に進行しており、日本農業の持続可能性が問われています。その対策のひとつとして注目されているのが、スマート農業です。スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する、新しい農業のこと。また、世界的に見れば、気候変動による塩害被害が深刻化しており、塩害対策が喫緊の課題となっています。このような社会課題を解決する一助となるべく、農地の状態を長期間にわたり、モニタリングできる当製品を開発しました。

復興支援のために開発した最初期の土壌センサ

土壌センサはすでに市場に多数存在していますが、その中でムラタが今、土壌センサを開発した背景について 機能デバイス事業部 商品技術部 開発・マーケティング課の大場義之が語っています。

「この土壌センサは、もともとは東日本大震災からの復興プロジェクトとして開発したんです。津波により東北地方の沿岸部の水田や畑が冠水して、塩害の被害を受けてしまいました。そこからの復興にムラタとして貢献したい、という想いから開発を始めたんです。
さらに世界中の気候変動による環境問題への貢献や農業のスマート化に適応するセンサとして進化を遂げさせてきました。センサの機能も大事ですが、これが創出する付加価値というものを特に重要視しています。」

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ムラタの土壌センサは高耐久性・高精度

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それでは、量産が開始されたムラタの土壌センサを見てみましょう。それは、3つのセンサがひとつのボディに内蔵されており、EC(電気伝導度)、水分率、温度という3つのパラメータについて、土壌中、水中において同時に計測することができます。ECセンサには業界初という9電極が用いられており、多くの計測パターンにより不確定性の排除=高精度を実現しています。

開発の過程で特に配慮したのは、耐久性とECの精度です。
「耐久性は、震災復興用として開発した初期の土壌センサの頃からの課題でした。同時に、市場にある土壌センサが解決できていない課題であり続けています。これを、設計から生産工程までを見直すことで解決しました。」

「ボディに耐候性の高い樹脂を採用したり、ケーブルとボディやボディ同士の隙間から水が入らない構造にしたり、腐食の起こらない金属の採用や電圧の配慮と、パッと見ただけでは分かりませんが、細部まで丁寧に検討して、製品化しています。当然のことながら土壌センサは、土壌の化学性、生物性、そして設置時の物理性にも耐えなければなりません。それに対する耐久性は、日本においては北は北海道、南は沖縄まで、さらに赤道近くからヨーロッパまで、多種多様な環境下で検証済です。」

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「ECの精度の高さには、特に自信があります。土壌は土の粒、空気、間隙水の3成分から構成されていますが、少ない電極で計測した場合、電極間に石の粒や空気層が挟まると、正確に計測できませんでした。また、EC値は水分量とイオンの量に影響を受けてしまいます。そこで当社の土壌センサでは9電極を採用して高精度化を図りつつ、同時に独自アルゴリズムにより正確なECを計測できるようになりました。これにより、肥料の量だけを計測することが可能となっています。」

世界中での実証を経て量産開始 様々な農業現場で灌水を効果的に

こうして高耐久性と高精度を手に入れた土壌センサは、世界中で試験や実証実験を繰り返され、2022年5月、遂に量産されました。2012年の復興プロジェクト開始から10年を経たことになります。この10年という開発期間は、ムラタが当製品を万全を期して開発したことの証明です。この土壌センサを、多様な農業生産の場で、様々な課題を解決するために、検証を行ってきました。
 
たとえば、宮崎県西都市のピーマン生産者グループである『黒生野アグリ研究会』では、ハウス内での養液土耕栽培に土壌センサを導入(RightARM(テラスマイル社の農業経営クラウドサービス)と組み合わせる)したことで、約10%の生産性向上による経営効果がありました。

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また、土壌センサをジャガイモ栽培に導入したカルビーポテトでは、センサ値に基づき、効率的な灌水作業の実現と1.6倍の収量増を合わせて実現しています。

さらに現在、検証を行っているのが、果樹の現場での活用です。果樹栽培では土壌水分量が品質を大きく左右します。柑橘では、上手く乾燥ストレスを加えることで糖分を増やすことができますが、水分が不足すると表面に皺(しわ)が生じるなど品質低下が起こります。また、柿栽培では、水分が過剰になると身割れが発生することが知られています。ムラタでは、品質向上に向けて柿の圃場での実証実験を続けています。

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ムラタは、高性能土壌センサなどの提供を通じて、農業生産者の悩み解決と、世界中の農業文化の発展や食料危機問題の解決に貢献します。

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