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人材育成×muRata

革新の担い手となる意識の変化はどのように生まれたか?(中編)

3. 本音をさらけ出すことでチームの議論が活発になった

人材育成プログラムのSTEP2では、130名の受講者が27のチームに分かれ、疑似経営チームを結成。最初に、未来に対する洞察を深め、自分たちなりの変化の仮説を導き出し、未来の姿を言語化・可視化する「未来妄想ストーリー」に取り組みました。

『中長期の理解向上』『チーム活動』『リーダー像の明確化』の3つのSTEPを解説する図

同じチームに配属された森安と中島は、「チームは所属する部門も勤務地も異なるメンバーで構成されており、定期的に対面で集まることができず、なかなか議論が進まなかった」と当時を振り返ります。

森安「加えて、チームのメンバーはそれぞれ業務も忙しく、なかなか時間を確保することができませんでした。焦りが生じるなかで、思い切ってメンバー全員で2日間の合宿を行うことにしました」

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ミリ波事業推進部 森安

中島「合宿によって流れが一気に変わりましたね。タイムスケジュールやタスクはある程度、決めて臨みましたが、まずはメンバーそれぞれの悩みや“志”を含め、本音を全部さらけ出しました。そこからはどう課題を解決するか、何を変えるべきかと、議論が活発になりました」

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化学デバイス商品部 中島

原口「本音で話し合うことは私たちのチームでも意識したポイントです。バックグラウンドの異なるメンバーがそれぞれ未来を妄想するなかで、どのようにテーマを絞り、モチベーションを高めて行くか。そのために対面の打ち合わせを重ね、本音でぶつかり合える関係性を築きました。結果として、全員が腹落ちして選んだテーマに本気で向き合えたと思います。客観的にみても円滑なチームビルディングを実現することができて、この成功体験は大きな自信につながっています」

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新規事業推進部 原口

首藤「私のチームの場合は、議論を進めるなかでメンバーの人となりが見えてきて、チームビルディングはスムーズだったと思います。ただ、私はいつの間にかまとめ役のようなポジションになっていて、『首藤さんは結局のところ何にわくわくするの?』と言われ、はっとしました。そこから自分の本当にやりたいことと真剣に向き合い、みんなが意見を出し合う有意義な時間を過ごすことができました」

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生販システム部 首藤

4. 未来を妄想するためにはトレーニングが必要

チーム内の議論に加え、社内外のフィールドワークで新たな視点を獲得しながら、最終報告会にむけたアクションプランの考案に進んで行きました。

森安「『未来妄想ストーリー』は、ムラタという主語を一旦取り払い、自由な発想で未来を妄想することが主旨でした。そこで、新たな視点や発想を得るために10社以上の企業に協力を打診し、人材やキャリア形成についてさまざまなヒアリングを行いました」

中島「『Make2030』に背中を押してもらい、普段は聞くことのできない他社の課題を聞けたことは貴重な体験でした。ただ、アクションプランとしてムラタの課題と結びつけて行く作業は難しかったですね」

原口「私たちのチームも試行錯誤の連続でした。ありきたりな未来妄想になっていないか、自分たちが本当に楽しめる未来かといった視点で議論を重ね、アクションプランを練って行きました。これまで関心のなかった領域のことを調べるなど、新鮮な体験の連続でしたね」

首藤「私たちも『未来を妄想するためにはトレーニングがいる』ということを痛感しました。どんなにリサーチしても、結局はその情報を発展させるためのトレーニングが必要なのだと。『Make2030』にはシナリオプランニングの講義もあり、そこでの学びを活用することでようやく未来につながる一歩を踏み出し、みんなでわくわくしながらアクションプランを練って行きました」

5. メンターの助言で思考力を養い、役員とムラタの未来を考える

STEP2の締めくくりでは、「未来妄想ストーリー」をムラタの経営課題と結びつけ、最終報告会で具体的なアクションプランを経営陣にむけて提案しました。

原口「役員はみな、真剣に私たちの提案に耳を傾け、足りていない部分を適格に助言してくれました。自分たちがやりたいことを役員に提案するという経験は楽しさに満ちあふれていた一方、物事をうまく伝えること、共感してもらうことの難しさも実感しました。こうした新たな課題を見つけられたこともよい経験になりました」

中島「単なる研修の発表ではなく、ムラタや社会の課題を解決するアイデアとして私たちの提案を聞いてくれました。どうすれば具体化できるかを一緒に考える役員の姿勢には素直に感動しましたね」

森安「役員より総評としていただいた『気づいたのならアクションしてほしい。村田製作所、あるいは日本が課題としている部分に対し、勇気を持ってアクションを起こしてほしい』という言葉は今も支えになっています」

首藤「最終報告会にむけて、社内外のメンターに半年に亘って伴走してもらい、アイデアを壁打ちするたびに広い視野や新しい視点をいただきました。提案終了後にメンターがかけてくれた労いの言葉には、思わず胸がじーんとしてしまいました」

森安「『何から取り組めばいいか』『自分に何ができるか』を自問自答する日々でしたが、社外メンターの方から新しい視点をいただき、なんとかアクションプランを形にすることができました。社内メンターにも手厚くサポートしてもらいましたが、誰もが自分なりの思考力を持ち、フィードバックはいずれも腹落ちするものばかりでした」

原口「社外メンターとの壁打ちでは、ムラタらしさへの執着や固定観念が薄れて行く感覚があり、視野がこれまで以上に広がりました。今後の業務でも、ムラタを客観的に見つめ、自由な発想からアイデアを考えて行きたいと思います」

※所属部署は2023年10月時点のものです。

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