SDGs×Murata

SDGsを通じたムラタの価値創造(後編)

客観的評価をPDCAのベンチマークとして活用

2019〜2021年度の重点課題として11の目標を掲げたムラタは、着実に取り組みを前に進めています。

 

今川「現在、注力しているのが気候変動対策と資源の効率的な利用です。例えば、岡山村田製作所で駐車場1200台分のスペースにメガソーラーを導入するなど(トップ写真)、さまざまな取り組みが動き出しています。2020年12月には、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す『RE100』に加盟しました。電子部品を扱う企業にとってはハードルの高いものですが、業界をリードする動きだと自負しています」

 

細見「取り組みにあたっては、ESG評価機関の評価を参考にしています。ただし、高い評価を得ることが目的ではなく、客観的な視点から取り組みを分析し、評価の低い項目をどう改善していくか、関係部署と連携してどうPDCAを回していくかのベンチマークとして活用しています」

 

今川「一方、こうした取り組みは今に始まったことではありません。1994年、創業50周年を機に打ち出したコーポレートスローガン『Innovator in Electronics』の持つ意味のひとつとして、『環境や社会に対して、ムラタが主体的によりよい方向に働きかけていこう』ということが謳われています。さらには、資源の効率的な利用につながる『軽薄短小』は、ムラタのコアコンピタンスとして創業当初から受け継がれているものです」 

 

細見「SDGsを推進することで、今まで当たり前のように実践してきたことが、実は社会に貢献していたことを知る機会が増えていくと思います。そのことを、ムラタで働くことのやり甲斐や誇りに結びつけることも私たちの役目です」

QCDS+サステナビリティを武器に市場競争力を高める

中国は2035年までにすべての新車を電気自動車にする方針を模索し、イギリスはガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を2030年に設定。こうした社会の動きはSDGsやメガトレンドと密接に結びついています。

SDGsに関連するこうした取り組みは、企業価値を高め、市場競争力の向上にもつながると言います。

 

今川「一般的に製品やサービスの価値を表すQCDS(クオリティ・コスト・デリバリー・サービス)の各分野では、新興国の企業による追い上げが激しくなってきています。QCDSの価値を継続して高めつつ、どう差別化を図り、市場競争力を高めていくか。その新たな軸のひとつがサステナビリティではないでしょうか。従来の真摯なものづくりに加えて、サステナビリティという新たな軸を据え、QCDS+サステナビリティを武器に市場競争力を高めていきたいと考えています」

 

細見「将来的に、生産・供給プロセスがクリーンであることが取引条件として求められることも想定しています。そして、そうなってから慌てて取り組んでももはや手遅れです。SDGsの目標達成は2030年。長いようで短いですし、一朝一夕で始められるものではありません」

 

今川「SDGsやグローバルリスクなどのメガトレンドは経営戦略を立てるひとつの指針であり、同時に、企業が変化するきっかけにもなると思います。例えば、中国やイギリスは将来的な自動車の電動化を進めていますし、多くの企業がカーボンニュートラルを宣言しています。そうしたさまざまな社会の動きがSDGsを通して結びつき、点と点が線になる。ビジネス的な思考やマーケットを読む力を身につけるきっかけになるので、社員の意識変化に活かしていきたいと思います」

 

企業価値・市場競争力の向上に向けた経営戦略の指針として、そして、社員一人ひとりのマインドチェンジのきっかけとして、SDGsに取り組み始めたムラタ。次回は、より具体的な取り組みにフォーカスし、ムラタのSDGsの進化と深化をご紹介します。

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