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SDGs×Murata

ムラタが推し進める気候変動対策―グループ全体の取り組み(前編)―

INDEX

1. 社会価値と経済価値の好循環において重要性が増す気候変動対策

2. 気候変動対策に自社の技術・ソリューションを活用

国連が定めるSDGsの17の目標において、「気候変動に具体的な対策を」への注目度は日に日に高まっています。世界各国の政府が気候変動対策を打ち出していることはもちろん、ビジネスの分野においても、多くの企業がカーボンニュートラルや再生可能エネルギー利用を推し進めています。その動きはサプライチェーンにまで広がり、今や気候変動対策は必要不可欠な企業活動のひとつになっています。

そうした中、村田製作所(以下、ムラタ)でもグループ全体でさまざまな気候変動対策に取り組んでいます。今回は、工場の施設や設備を含む、ムラタグループ全体の気候変動対策を推進するファシリティ部所属の勝間と藤原に、その背景や取り組み内容について聞きました。

1. 社会価値と経済価値の好循環において重要性が増す気候変動対策

SDGsを通じたムラタの価値創造」でも紹介したように、SDGsを企業価値・市場競争力の向上に向けた経営戦略の指針に位置づけているムラタ。その中で気候変動対策の重要性は日に日に増し、取り組みも”進化”と”深化”を続けています。

藤原「これまではムラタの製品、技術が評価されてきましたが、近年、製品が作られるプロセスを重視するお客様が増えてきました。製造業に従事するムラタの場合、CO2排出量の削減などの気候変動対策に取り組むことは、社会価値、経済価値の両面から見ても極めて重要であると考えています。そのうえで、2020年には国際的な環境イニシアティブ『RE100』に加盟し、2022年には温室効果ガスの削減目標において『SBTi(Science Based Targets initiative)』によるSBT認定を取得するなど、明確な目標の設定や具体的な実現プランの策定にも力を入れてきました」

ファシリティ部・藤原のイメージ画像
ファシリティ部・藤原

勝間「気候変動対策に取り組むことは企業の競争力や信頼の向上につながります。そのうえで、業界での立ち位置も踏まえ、ムラタが積極的に、率先して取り組んでいる姿勢を示すことも大切だと感じています。2018年にはJCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)に加盟し、脱炭素社会の実現に向けて政府に提言を行うなど、企業の枠を超えた活動も行っています。社内外に向けて気候変動対策の重要性を訴えることで、社会全体をより良いものにしたいという意識で業務に取り組んでいます」

ファシリティ部・勝間のイメージ画像
ファシリティ部・勝間

藤原「各地域のエネルギー調達手段の選択肢の拡がりを見据えて気候変動対策に取り組むことで、ムラタがお客様のベストチョイスになることを目指しています。同時に、社是やコーポレートスローガン『Innovator in Electronics』にある環境や社会、文化の発展に貢献することもムラタの使命だと考えています」

勝間「工場で創エネや省エネを進める中では、高機能な設備の新設や増設が必要になることも多くあります。ファシリティ部は、コーポレートの立場から世界50拠点以上の施設管理部門に気候変動対策の全社方針を伝え、連携しながら環境負荷の低減に取り組んでいます」

フィリピン工場の太陽光発電設備イメージ
フィリピン工場では発電容量約3MWの太陽光発電設備を設置、また、地熱発電などの再生可能エネルギーも利用しています。

2. 気候変動対策に自社の技術・ソリューションを活用

現在、製造業に従事する企業の多くが気候変動対策の方法を模索する中で、工場の設備・工程ごとの使用エネルギーの見える化にも注目が集まっています。使用エネルギーの見える化、さらには使用量の制御においては、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入が重要となりますが、ムラタはここに自社の技術を活用したシステムを採用しました。

藤原「ムラタのセンシング技術とIoT技術を組み合わせ、新たに構築したEMSをいくつかの工場に導入しています。工場に設置した無線センサネットワークシステムで電流や温湿度、振動などを感知し、それらのデータを工場、本社、クラウドで共有することで、エネルギー使用を最適化するシステムです。例えば、温湿度や清浄度をモニタリングし、エリアごとに空調を制御することで省エネ運転を実現しています」

勝間「導入した工場の中には、空調の電力使用量を50%削減、工場全体の年間省エネ効果も8.6%削減という効果が出た工場もあります。現在は工場で得たデータを収集し、どのように活用できるか、ほかの工場にどのように水平展開できるかを検討している段階です」

また、多くの企業が取り組んでいる太陽光発電システムを活用した再生可能エネルギーの利用においても、ムラタは独自の方法を取り入れています。

勝間「ムラタの工場では多くの従業員が車通勤のため、ほとんどの工場が広い駐車場を有しています。そこでカーポート型の太陽光発電システムの導入を進めています。岡山村田製作所では、2020年に工場に隣接した駐車場に1,200台分のカーポート型太陽光発電設備を設置しました。2021年には500台分を増設し、総発電容量は3.7MW、駐車場型のメガソーラーとしては当時日本最大級の規模となりました。現在、発電した電力はFIT制度を利用して売電することで、地域のCO2削減効果に年間約2,400トン貢献していますが、将来的には自家消費への切替も検討しています。現在はカーポート型太陽光に加えて、ムラタの技術を活用した蓄電池と制御システムを組み合わせることで、効果的に再生可能エネルギーを利用できるようにしました」

藤原「太陽光パネルはグローバルに展開しており、中国やタイ、シンガポール、フィリピンなどの工場にも設置しています。フィリピンの工場では2021年に発電容量約3MWの太陽光発電設備を設置し、年間約2,900トンのCO2削減効果を見込んでいます。また、地熱発電などの再生可能エネルギーも利用しており、海外拠点としては初めて再エネ100%工場を実現しました」

[プレスリリース]フィリピン工場を海外生産拠点として初の100%再生可能エネルギー利用工場に

気候変動対策の大きな目標として注目を集める100%再生可能エネルギー利用。達成するには、事業所内の再生可能エネルギー発電設備だけではムラタの消費電力量は到底賄えないため、事業所外の再生可能エネルギー事業への投資や再生可能エネルギー電力の調達方法の模索など、グループ全体の再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みを進めています。

後編では、気候変動対策を全社的に推し進め、再生可能エネルギー化を促進する社内制度について紹介します。

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