SDGs×Murata

SDGsを通じたムラタの価値創造(前編)

前回の「企業におけるSDGsの重要性」では、社会全体がSDGsを指針にして動き出し、企業にとってSDGsは経営戦略上、必要不可欠であることを紹介しました。

今回は 、実際にSDGsの推進に携わる村田製作所 サステナビリティ推進部の今川 (トップ写真左) と細見 (同右) に 、企業価値や市場競争力の向上といった観点からSDGsの取り組みを聞きました。

SDGsを中心にマーケットや政策が動き出している

まず、ムラタがSDGsに取り組んだ要因について、2人は社会的な背景をポイントに挙げます。

 

今川「リーマンショック以降、社会の価値変容は一気に加速しました。そして、2015年のSDGsとパリ協定の採択によって、企業における非財務価値の見直しが決定的なものになったと思います。つまり、利益だけを追い求めるのではなく、持続可能な社会への貢献が企業価値を左右することになりました」

 

細見「同時に、ここ数年でムラタの事業規模が拡大し、環境負荷などに対する社会的責任が増したことも要因のひとつです。もちろん、これまでもCSRに取り組んでいましたが、CSR=社会貢献という意識が強かったと思います。一方、SDGsは2030年までの具体的な目標が設定されていますし、マーケットをはじめ、政策や法制度もSDGsを中心に動き出しているので、ビジネスへの直接的な影響が非常に大きいと思います」

 

今川「SDGsに取り組むにあたって、まず議論したのがCSRの再定義でした。そこで、CSRのR=Responsibilityを『Response & Ability』、“企業が社会に対して応答できる能力”として捉え直しました。結果として、CSRは普遍的な考えであり、SDGsをその延長線上に捉え、時代の変化に応答していくことを重視しようという共通認識に至りました」

SDGsは企業が成長するための経営戦略の指針になる

実際にSDGsを推進するにあたって、どのようなステップを踏んだのでしょうか?

 

今川「ファーストステップは『他社に遅れを取らないように取り組もう』ではなく、あくまでも『将来的にムラタがどのように 社会に価値を提供し、 企業価値を高めていくか』の経営戦略を立てることでした。その指針としてSDGsを活用しましたが、それだけではありません。世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書などのメガトレンドを踏まえて、ムラタにとって何が重要か、ステークホルダーにとって何が重要かというフィルターを通して経営戦略を立てていきました」

 

細見「その結果、ESGに沿って11の重点課題を導き出しました。環境では『気候変動対策の強化』『持続可能な資源利用』『公害防止と化学物質管理』、社会では『安全・安心な職場と健康経営』『人権と多様性の尊重』『地域社会との共生』など、ガバナンスでは『公正な商取引』『事業継続の取り組み』などを掲げています」

 

SDGsなどを指針にして目標を定め、動き出したムラタ。後編では、具体的な取り組みを紹介しつつ、それらがもたらす企業価値や市場競争力の向上を掘り下げます。

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