ノイズ対策技術 / 事例紹介(自動車)
車載LAN用コモンモードチョークコイルによるCANのノイズ対策(1)
【背景】
近年自動車市場における電子化の動きは目覚ましく、ADASなどの付加機能の充実によって1台あたりに搭載される電子機器の数はますます増加していくと考えられます。
自動車の電子化においては車内の電子機器間で情報を伝達するための車載LANの存在が不可欠です。
車載LANでは大量の情報を伝達するために高速であることが必要になるほか、通信品質についても高い信頼性が求められることから、車載独自のインターフェースが多く用いられております。
車載LANとして、特に広く普及しているのがCAN(Controller Area Network)です。
CANにおけるノイズ対策
【CANにおける電磁ノイズ問題と対策】
CANにおいては通信品質に高い信頼性が求められるが、特に信頼性に影響を与えるのが、 いわゆる電磁ノイズです。電磁ノイズの問題では、自動車内で用いられる無線通信等に影響を与えないようノイズの発生を抑える必要があるほか、周囲から混入するノイズに対しても通信品質を保てるように耐性を高く保つことが要求されます。
例えば放射ノイズにおいては信号周波数250kHz(あるいは500kHz)の高調波ノイズが数十MHz帯まで高いレベルで放射されます。

【DLWシリーズによるノイズ抑制効果と波形への影響の評価】
CANにおけるDLW43SHシリーズの効果を確認するため、CANの評価用ボードを用いた放射ノイズ評価およびBCI試験、波形評価を行いました。
<評価結果>
■放射ノイズ評価
DLW43SHシリーズを追加することで、ノイズ抑制効果が得られることを確認。
(250kHzパルス時、約25dBのノイズ抑制効果 at 垂直偏波20.5MHz・500kHzパルス時、約18dBのノイズ抑制効果 at 垂直偏波21.0MHz)
■BCI試験
DLW43SHシリーズにより誤動作が抑制され、全周波数(1MHz-400MHz)で100mAをクリア。
■波形評価
DLW43SHシリーズにより、ショートの場合と比較して、波形への影響はほぼ見られないことを確認。
<評価環境>
■測定条件
下記のスター型トポロジを用いて放射ノイズ評価を実施いたしました。CAN評価基板はクロックオシレータから250kHz/500kHzパルスをトランシーバのTxd端子に入力し、CAN信号を発生させています。
受信側のノードは高インピーダンスのICを想定し、オープン終端としています。

コモンモードチョークコイルのセレクションチャート
信号ライン用セレクションチャート
電源ライン用セレクションチャート
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