EVにお勧めな安全規格認定コンデンサのご紹介
1. はじめに
電気自動車(xEV)の普及の課題の1つである、充電時間が長く航続距離が短いという問題を解決するために、電気自動車の軽量化、バッテリーの高電圧化が進んでいます。
村田製作所では、これらの技術トレンドに対応する高電圧対応・小型の電子部品を取り揃えております。
この技術記事では、一例として安全規格認定コンデンサを取り上げます。
2. xEVと安全規格認定コンデンサ
安全規格認定コンデンサは、最新のxEVパワートレイン全体に配置されています。主な用途としては、OBC(車載充電器)、トラクションインバータおよびDC-DCコンバータなどが挙げられ、コモンモードフィルタおよびアイソレーションの目的で使用されます。
下図は車載充電器の一般的な回路です。この例で赤く強調しているコンデンサは安全規格認定コンデンサが必要とされます。
3. 安全規格認定コンデンサのソリューション
長年にわたって自動車市場で培った経験と最先端技術を活用し、AEC-Q200に準拠したIEC60384-14 X1/Y2クラス認定コンデンサのラインアップを継続的に拡大しています。
DE6シリーズは、リードタイプ円板型セラミックコンデンサで、スルーホール実装に対応しており、フィルムコンデンサよりも小型で高温動作に優れていることが特徴です。定格電圧は300Vac、1000Vdc、容量値のラインアップは100pF~4.7nFでIEC60384-14 X1/Y2クラス認定コンデンサです。
KCAシリーズは、金属端子タイプ積層セラミックコンデンサです。従来の安全規格認定コンデンサと比較し部品サイズが非常に小さいため、実装面積と空間に占める体積を節約できます。リフロー実装が可能なため、他の面実装部品との実装面での親和性が高く、基板設計の選択肢が広がります。また、積層セラミックコンデンサの特徴である低ESR(等価直列抵抗)および低ESL(等価直列インダクタンス)の特徴からノイズ抑制効果に大きく貢献します。
定格電圧は250Vac、1000Vdc、容量値のラインアップ100pF~10nFでIEC60384-14 X1/Y2クラス認定コンデンサです。
金属端子タイプ積層セラミックコンデンサを選択する大きな利点として、金属端子の弾性作用によってセラミック素子にかかるストレスを大幅に低減する構造が挙げられます。
耐基板曲げ性試験では基板のたわみ量6mmでも破損せず、温度サイクル試験では2,000回サイクルでも半田クラックは発生しませんでした※。
振動による故障のリスクも軽減されます。
※製品保証はAEC-Q200に基づく試験条件より、それぞれたわみ量5mm、1000サイクルと異なります。
4. 自動車用安全規格認定コンデンサの新たなシリーズ
これまで紹介してきた二つの製品シリーズに加えて、xEVのバッテリー高電圧化、800Vシステムに対応するEVAシリーズを紹介します。
EVAシリーズは、樹脂モールド表面実装タイプセラミックコンデンサで、1500Vdcの高定格電圧と10mmの長沿面距離をもつことが特徴です。
従来のKCAシリーズの表面実装・小型・低ESLのメリットを維持しながら、高電圧システムに対して安全規格が要求する長沿面距離を実現していることが特徴です。
定格電圧は305Vac、1500Vdc、容量値のラインアップ100pF~4.7nFでIEC60384-14 X1/Y2クラス認定コンデンサです。
詳細は下記の製品・イベントニュースをご覧ください。
5. まとめ
安全規格認定コンデンサは、EMIの抑制、雷サージへの耐量など、xEVシステムにおいて重要な役割を果たしています。今回紹介したシリーズは、xEV分野における技術の進歩に対応しつつ、自動車メーカーおよび自動車部品メーカーの期待に応える新たなソリューションです。
EVA | KCA | DE6 | |
---|---|---|---|
実装方法 | SMD | SMD | THD |
サイズ | 12.7×6.0mm | 6.1×5.1mm | 6.0 - 12.0mm |
定格電圧 | 1500Vdc | 1000Vdc | 1000Vdc |
公称容量 | 100pF - 4.7nF | 100pF - 10nF | 100pF - 4.7nF |
安全規格認定 | Y2:305Vac(r.m.s.) | Y2:250Vac(r.m.s.) | Y2:300Vac(r.m.s.) |
沿面距離 | 10mm min. | 4mm min. | 7.5mm min. |