コンデンサガイド

車載用150℃対応 リード線タイプ 積層セラミックコンデンサRHシリーズ

まえがき

地球環境への関心の高まりから、ガソリン車の排ガス対策・燃焼効率向上、及びハイブリッド車 (HEV) 、電気自動車 (EV) と新たな技術が次々に導入されています。これらの技術進歩に伴い、電子部品にも小型化・高温化・高信頼性が必要になっています。 この流れの中から、当社は最高使用温度150℃対応のリード線タイプ積層セラミックコンデンサ RHシリーズを商品化しています。

商品化背景

排ガス対策、燃費効率向上のために車に搭載される各種センサ用ECUは増加しています。これに伴い、ECUの設置スペースに余裕がなくなり、各種センサ及びセンサに重畳されるノイズ除去用コンデンサはリード線タイプでエンジン近くの部位に溶接接合されます。そのため、エンジンを切った瞬間にコンデンサの周囲温度が125℃を超える場合があります。 また、HEV、EV化によりバッテリー電流が増加し、電流検知回路が従来のような基板実装でなく金属バーに直接実装で構成される場合があります。その際には電流検知回路のノイズ除去用コンデンサもSMD部品でなくリード線部品が溶接接合で実装され、電流増加に伴って、高温対応化の要求があります。 これらの市場要求に応えて、リード線タイプの150℃対応品を商品化しました。

商品ラインアップ

図1に温度特性のグラフを示します。150℃近辺では容量値が30%程度低下しますが、125℃を超えるのはエンジンを切った瞬間で電気回路は作動していないため、150℃での容量値低下は回路動作に全く影響を与えません。また、各種センサ電圧の5Vdc或いはバッテリー電圧の13Vdcでの容量値低下が殆ど無い良好な特性を示しています。

図1:温度特性グラフ

詳細ラインアップを図2に示します。

図2:詳細ラインアップ

商品の特長

温度サイクル性の向上 (大型サイズ用外装樹脂の改善)

車載部品は、最低使用温度 ⇔ 最高使用温度 1,000サイクルの温度サイクル試験要求があります。そのため、150℃対応品の場合、-55℃ ⇔ +150℃ 1,000サイクルの温度サイクル試験を満足する必要があります。

一般的に、リード線タイプ積層セラミックコンデンサに使用している外装のエポキシ樹脂はガラス転移点 (Tg) を境に膨張・収縮が大きく、外形寸法が大きくなるとその応力も大きくなり、-55℃ ⇔ +150℃ 1,000サイクルの試験において、外装樹脂に亀裂が入る場合があります。亀裂が大きい場合には樹脂の応力が内部のセラミック素子に加わり、セラミック素子に亀裂を生じさせる危険性があります。

RHシリーズでは、外形寸法の大きいL寸が5.7mm、6.0mmの製品の外装樹脂に膨張・収縮の小さいシリコーン樹脂を使用し、-55℃ ⇔ +150℃ 1,000サイクルでも樹脂に全く亀裂の入らない製品を実現し、温度サイクル性を向上しました。

高温信頼性の実現

車載用に開発され、高温信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを使用することにより、「150℃、定格電圧の1.5倍の電圧印加1,000時間」の高温負荷試験を満足しています。

溶接実装対応

リード線タイプのコンデンサが使用される部位は回路基板でのはんだ実装でなく溶接実装が多いです。溶接される金属の種類・溶接方法に合わせて、鉄線及び銅線の2種類のリード線材料で商品化しました。

サージ電圧対応

各種コイルのサージ電圧が電源・信号ラインに重畳されてくる可能性があります。
RHシリーズは車載サージ電圧試験「ISO7637-2」の要求仕様を満足しています (図3)。

定格50V品: 12Vシステム仕様を満足
定格100V品: 24Vシステム仕様を満足

ISO7637-2 パルス1の試験波形
 試験波形パラメータと試験回数
パラメータ UA Us td tr 印加回数
12Vシステム 12V -100V 2ms 1us 5,000パルス
24Vシステム 24V -600V 1ms 3us 5,000パルス
 
 その他のパルス波形名称、最大印加電圧、印加時間(又はパルス印加回数)
パルス波形 2a 2b 3a 3b 4 5e
12Vシステム +50V +10V -150V +100V -7V +87V
24Vシステム +50V +20V -200V +200V -16V +173V
印加時間又は回数 5,000パルス 10パルス 1時間 1時間 1パルス 1パルス
 

2a~5eの試験波形はISO7637-2の規格を参照のこと。

図3:ISO7637-2 パルス1の試験波形と要求仕様

AEC-Q200対応

一般的に車載用途に要求されるAEC-Q200仕様を満足しています。

AEC-Q200のESD試験は、充電コンデンサを150pFに設定して静電気試験を行うため、「Q=CV=一定」の関係より、試験対象の容量値により加わる静電気の電圧が異なります。そのため、容量値によりESD実力が異なります。
表1に代表的な容量値のESD実力を示します。

表1:代表的な容量値のESD耐力
定格電圧 温度特性 静電容量値            
- - 1,000pF 4,700pF 10nF 47nF 0.1μF 0.47μF 1μF
100V X8L 2kV 8kV 16kV 25kV 25kV 25kV 25kV
50V X8L 2kV 8kV 16kV 25kV 25kV 25kV 25kV
     

むすび

高温・小型化要求は今後も強まってくると予想しています。定格電圧の拡大及びフィルムコンデンサ領域も視野に入れた容量値の拡大に取り組み、積極的に車載市場の要求に応えていきたいと考えています。

※当記事は電波新聞第2部「ハイテクノロジー」2009年10月1日号に掲載された内容を再構成したものです。

※当記事で紹介しているRHシリーズの詳細は下記をご覧ください。

   RHシリーズの特徴、主な仕様、静電容量表
   RHシリーズ品番一覧

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