コンデンサ(キャパシタ)

コンデンサガイド
電子機器業界では鉛フリー製品の採用、製品開発等が盛んです。導電性接着剤は、環境対応の観点から、鉛フリー製品 (はんだの代替製品)として注目されており、現状では、積層セラミックコンデンサを始めとする電子部品のほかに、LEDのダイアタッチ接着剤、CCD等の耐熱性が低いモジュール、接合部が溶融することで不具合が発生する樹脂封止モジュール、高い耐熱性・耐温度サイクル性が要求される車載モジュール等にも使用されています。
従来、過酷な温度変化環境下に置かれたはんだ実装部品は、熱衝撃を受けると部品と基板の膨張収縮率の差によってはんだ部への負担が増し、クラックが生じるという問題が発生していました。しかし、導電性接着剤実装には、このようなリスクが発生することはほとんどありません。導電性接着剤実装の例を写真1に示します。
今後、導電性接着剤は幅広い用途での適用が期待され、また導電性接着剤の国際標準化により、従来のはんだ実装市場の幾つかを置き換えることが予想されます。
上記の市場に向け、当社はAg(銀) -Pd(パラジウム)からなる外部電極を有し、導電性接着剤との固着性を確保した積層セラミックコンデンサGCGシリーズを商品化しています。GCGシリーズは、特に自動車のエンジン制御ユニット、各種センサ回路など、過酷な温度環境下に置かれる電子部品の実装に適した構造となっています。従来品である外部電極めっき品(GCMシリーズ)との構造比較を図1に、従来品との固着力の比較を図2に示します。
省エネ低温プロセスで強固な部品固着力を発揮する導電性接着剤は、エポキシ樹脂の中にAgのフィラーが含まれた設計となっています。この接着剤に対して、既存のSn(すず)めっき端子電極構造では、その表面の平滑性により十分な固着性を確保できないだけでなく、AgとSnの接触面における電位差により、時間とともに電位腐食が発生し信頼性を確保することが難しくなります。この両方の問題を解決するために、当社はAgの構造を有した外部電極を形成しました。厚膜焼成の電極特有の表面の凹凸により、接着剤との接触面積を確保し、またAg同士を接触させることで電位腐食を回避しました。更にPdを含めることでAg表面の酸化防止を実現することが可能となりました。
導電性接着剤に含まれる導電フィラー金属や外部電極に使用するAgは、極端な高湿度環境下で電位差が生じると正負ランド間またはコンデンサ電極間でエレクトロマイグレーション現象により絶縁性が低下するリスクがあります。このリスク低減のために、コンデンサ側ではAgとPdとの合金比率最適化をはじめとする様々な工夫をすることで、近年ではこうした問題も解決されています。
そのため、狭ピッチ用導電性接着剤への適用はもちろんの事、自動車エンジンルーム内装備各種電子制御回路など、過酷な環境下における長期使用にも安心して適用することができます。(ただし回路の使用環境や経過時間などにより、試験で得られた結果と異なる状況も想定されますので、より安全に使用いただくために、防湿性シリコンなどによる封止対策を行うことを推奨します。)
導電性接着剤実装では、マウント時に部品の下面側で接着剤が滲み出して電極間短絡が起こるケースがあります。
図3 (1)、(2) に導電性接着剤実装における部品装着前と装着後の模式図を示します。外部電極の形状により、導電性接着剤が部品の電極間方向に滲み出し、短絡等の不具合が発生する場合があります。この対策として、接着剤の量などの調整や印刷パターンの最適化などが必要となりますが、当社のコンデンサは、部品形状を制御し、そのような実装不良が発生しにくい構造を実現しました(図3(3))。当対策により接着剤の滲み出しも軽減され、より安心して使用いただけるようになりました。
当社のセラミックコンデンサの利点である幅広い温度特性および定格電圧と、上記のAg外部電極技術との組み合わせにより、GCGシリーズも同様に幅広いラインアップを実現しました。1005サイズ(in mm)(GCG15シリーズ)~3225サイズ(in mm)(GCG32シリーズ)のサイズを取り揃え、10pF~10μFの容量の選択が出来ることに加え、125℃対応品 (X7R特性)に加え、150℃対応品 (X8L/X8R/X8G特性) も取り揃えました。
GCGシリーズのラインアップを表1に示します。
自動車市場に代表される厳しい熱衝撃や機械的衝撃要求への対応として、今回ご紹介した導電性接着剤対応品だけでなく、外部電極の一部に樹脂電極を用いた製品 (GCJシリーズ) も商品化しています。
詳しくは以下をご覧ください。
▼GCJシリーズ
今後、鉛フリーをはじめとした環境にやさしい実装方式が更に進展すると考えられます。当社は、実装方式の変遷に合わせ、その実装方式に最適な製品の開発を今後も積極的に進めて行きます。
※当記事は電波新聞第2部「ハイテクノロジー」2010年1月28日号に掲載された内容を再構成したものです。
※GCGシリーズについて詳しくは以下をご覧ください。
▼GCGシリーズページ
▼GCGシリーズ品番一覧
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