コンデンサガイド

積層セラミックコンデンサ 小型化への挑戦(1)

「これ以上小さいコンデンサっていらんかな?少し考えて見てくれや。」

積層セラミックコンデンサの開発を担当して3ヵ月目、開発部長がつぶやいた。その当時は1005サイズがやっと立ち上がった時期である。私はと言うとこれまではフライバックトランスという商品を担当していてコンデンサはまったくのド素人、コンデンサの工程実習を終えたばかりの新人並みの役立たず。1994年、村田製作所入社10年目の出来事であった。
何をどうすればいいのかわからない中、開発企画を立てることを試みた。当時の商品技術課長・生産技術課長・企画課長に相談を持ちかけ議論した。
過去の積層セラミックコンデンサのサイズの変遷と基板上の実装密度を調査し、グラフに描いてみた。この作業から1999年に0603サイズが必要とされると結論付けた。これを開発企画として作り上げ、社内にPRした。

反応はひどいものであった。そんな小さいものが実装できるのか?市場に受け入れられるのか?などといった否定的な意見が大半であった。そのとき商品技術課長から出た苦肉の策が松竹梅理論である。「うな丼が松竹梅とあった場合ほとんどの人が竹を注文するように0603を作れば1005化が進む。そのツールにする。」というものである。当然のことだがこれは詭弁で私たちは0603が売れるようになると心から信じていた。

このようなスタートであるから担当は私とアシスタント1名だけであった。1005ラインを使っての試作が始まった。第一回目の試作は99%が不良で散々な結果であった。でも、1%特性が取れるものがあった。これを喜んだ。絶対出来るという確信を持つことができた。このときのサンプルはその後0402ができるまで私のデスクの中で宝物として大事に保管していた。

ここからが大変であった。シャープペンシルの芯よりも小さな部品を樹脂固めし、研磨して不良モードを一個一個確認した。気の遠くなるような作業であった。このときのエピソード。貴重な不良チップをピンセットで摘もうとして飛ばしてしまったことがある。いくら探しても見つからない。あきらめて家に帰り、頭を掻きながら本を読んでいるとポロっと髪の毛から何か小さいものが落ちた。よく見てみるとあれだけ探した不良チップだった。思わず一人で笑ってしまった。
不良モードを整理して、その対応策を練り、評価した上で二回目の施策を開始した。すると50%の良品が取れた。ここまでの期間が6カ月強、がむしゃらに突き進んできた。ちょうどこのとき新入社員のS君が配属され、少し体制が強化された。(S君はその後0402開発の中心人物になる。)
ここからは良品率を上げる一方で特性測定の方法や実装方法など、実際にお客様で使っていただくための検討を並行して進めなければならない。社内の生産技術や社外の測定機メーカー・テーピング機メーカー・実装機メーカーとの共同開発が始まった。ここで必要となるのは設備開発や実装評価のためのサンプルである。数千個や数万個という単位が必要となり、この確保にまた苦労した。製造監督者に三顧の礼をつくし、0603の必要性と将来性を説き、サンプルの流動を手配してもらった。この時期、製造は繁忙で無理して枠を確保してもらった。本当に感謝している。

~次回(2011/6/14号)へつづく~

担当:福井村田製作所 T.N

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