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キャッシュレスが変える新時代の消費行動

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を機に、人や物に接触する機会を減らす「非接触」の傾向が社会全体で強まっています。非接触型の経済活動を示す「タッチレスエコノミー」という言葉も注目を集める中、現金を使わないキャッシュレス決済は急激に暮らしの中に浸透しました。

たとえば、スマートフォンの決済アプリにお金をチャージし、決済端末にバーコードを読み込ませたり、ICカードにチャージした電子マネーをリーダーにタッチしたりと、キャッシュレス決済で買い物をしたことのある方は多いのではないでしょうか? さらに、顔認証で本人確認を行い、手ぶらで決済を行う次世代型キャッシュレスも登場するなど、著しい進化を遂げるキャッシュレスの動向を紹介します。

キャッシュレス決済を支えるRFID技術

キャッシュレス決済は現金の受け渡しなどの接触の機会を減らし、消費者の利便性を高めることはもちろん、導入店舗にとってもレジ業務の省力化、顧客データを活用したサービスの向上など、さまざまなメリットが存在します。

まずは、レジ業務省人化の事例をみてみましょう。大手ファッションチェーンの各店舗では、商品が入った買い物カゴを無人レジ横のくぼみに置き、タッチパネルを操作すると瞬時に合計金額を算出するセルフレジを設置。支払いは各種キャッシュレス決済で行うことで店員との接触の機会を完全になくし、キャッシュレス決済とセルフレジを組み合わせたサービスとして注目を集めています。

このシステムを支えているのが、電波を用いた近距離無線通信によってタグのID情報を読み取る「RFID技術」です。すべての商品の値札には、種類や金額などの情報を記憶したICタグが埋め込まれており、そのID情報をRFIDリーダーで読み取る仕組みです。RFID技術はICカードなどにも使われており、ファッション、小売、医療、製造業、物流といった幅広い分野での活用が進んでいます。

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衣類にRFIDのICタグを装着することで、在庫管理や棚卸しなどの効率化も図ることができる

顔認証を用いた無人型の店舗も登場

次に、キャッシュレス決済と顔認証の技術を組み合わせた事例をみてみましょう。

世界各国でオープンしているのが、無人かつレジすらない次世代型キャッシュレスの店舗です。商品が並んだ無人の店舗に入店する際、顔認証やアプリ認証を行うことで本人確認を完了させ、店内に設置された複数台のカメラや、商品棚の重量センサによって買い物カゴに入れた商品を検知。支払いは後日、クレジットカード宛に請求がくるケースや、その場で決済アプリ・ICカードで支払うケースがみられます。

また、スポーツ競技などを行うスタジアムでは、リニューアルを機に場内の完全キャッシュレス化と顔認証技術の本格導入に踏み切りました。場内での買い物の支払いは電子マネーやコード決済などに限定した上で、顔認証による入場・決済サービスを導入。来場者はあらかじめ顔の画像とクレジットカード情報を登録し、支払い時に店頭に設置されたカメラで顔画像と照合。本人確認後、暗証番号を入力することで決済が完了する仕組みです。マスクを着用していても買い物ができるなど、ニューノーマルな消費体験を提供しています。

日本の行政機関である経済産業省が発表した世界各国のキャッシュレス比率比較によると、韓国が96.4%、イギリスが68.6%、中国が65.8%、オーストラリアが58.2%など、国民の大半がキャッシュレス決済を利用している国が多くみられます。コロナ禍によってタッチレスエコノミーがさらに加速する今、買い物時に財布を持参する必要がなくなる、さらにはお金そのものが存在しなくなる未来が訪れるかもしれません。

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