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SDGs×Murata

MLCCを通じたSDGsの実現(後編)

11のマテリアリティとSDGsによって取り組みが加速

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2019年に定めた11のマテリアリティ(重点課題)

ムラタの社是には「技術を練磨し、科学的管理を実践」すること、コーポレートスローガン「Innovator in Electronics」には、「環境や社会に対して、主体的により良い方向に働きかけていく」という主旨があります。事業を通して社会課題を解決していくことはムラタの基本方針。その実践として、MLCCでもこれまでにさまざまな取り組みを行ってきました。

 

眞田「電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限するRoHS(ローズ)指令、化学物質管理に関するREACH規則といった海外の規制はもちろん、そこにムラタ独自のデータベースを組み合わせた厳格な基準を設けています。サプライチェーンとも連携を図りながら、有害物質の使用などをチェックする社内の管理・審査体制がしっかりと構築されているのです」

 

三好「私たちはそうした基準や『科学的管理を実践する』という社是に基づいた材料開発に取り組んできましたが、廃棄物を減らす取り組みも20年ほど前から実践しています。以前は廃棄物・廃液の処理方法を量産間近の最終フェーズで検討し始めていましたが、現在は開発の初期フェーズに組み込んでいます。環境対応への意見交換も活発になりましたし、それらは11のマテリアリティとSDGsがもたらした影響だと思います」

 

青木「環境対応に関するお客様の要望も増えてきています。優れた品質やコストはもちろん、環境面を意識した製品づくりは今後の企業選定基準になってきますので、しっかりとフォローしていきたいと思います」

MLCCで事例を積み重ね、オールムラタのSDGsへ波及させる

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出雲村田製作所に、環境性に優れた電気小型トラックを国内製造業として初めて導入

かねてから取り組んできた小型化、包装資材の削減をはじめ、現在、RE100に基づく省エネルギーおよびスマートファクトリー化の推進、中国の工場における環境負荷低減、メガソーラーの導入、電気小型トラックを使った事業所内物流など、さまざまな取り組みが進行しています。

 

眞田「MLCCはプロセスが複雑かつ使用エネルギーも大きいので、20年以上前から生産プロセスごと、設備ごとに使用電力のモニタリングを行っています。ただし、モニタリングだけでは改善策は見出せません。モニタリングした上で、データ分析の精度を上げて行くことがとても重要です。現在はひと通りデータ分析が終わったので、それをもとに改善テーマの設定を進めている段階です」

 

三好「廃棄物を減らす取り組みに加え、近年は廃棄物を有価物に変える新たな価値創造にも取り組んでいます。難易度が高い取り組みではありますが、まずは生産規模の大きなMLCCから“オールムラタ”で取り組んでいきたいと思います」

 

眞田「 MLCCは生産規模が大きく、市場での存在価値も大きくなっている。ゆえにMLCCで先駆けて様々な取り組みを進め、事例や知見を積み重ねて、“オールムラタ”でSDGsのロールモデルを作っていきたいと考えています」

MLCCにおける働きがいのある環境づくり

さまざまな環境対策もちろん、MLCCではSDGsが掲げる「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の推進も進めています。

 

三好「従業員同士で働きがいについて意見を交わし、ヴィジョンやミッションに盛り込む取り組みを行っています。性別や年齢などの属性に関わらず、個を尊重して認め合う『ダイバーシティ&インクルージョン』の活動も浸透してきました。また、安心・安全な職場づくりや健康経営も、働きやすさにつながる重要な取り組みとして推進しています」

 

眞田「ひと昔前まで、企業の環境対策はお金がかかるばかりで利益をもたらさないという考え方がありました。けれど、決してそうではありません。例えば、省エネルギーひとつとっても生産効率の向上やコスト削減に結びつきます。合理化や品質向上などの活動は環境対策と密接に関わっているのです。そのような考え方を社内に浸透させることで、意識変容やモチベーションアップに貢献していければと思っています」

 

青木「お客様と接する立場の私は、新しい製品をたくさん使っていただき、お客様の課題解決をサポートできることに働きがいを感じます。また、お客様がどのように製品を使っているかを見られるポジションということもあり、現場の従業員にお客様の声や使用感をフォードバックすることでモチベーションを高め、新たな価値創造につなげていくことも私の役割です。
それらを通じて、これまで以上に社会や文化の発展に貢献していきたいですね。時代が変化し、社是にある“文化の発展”という言葉の捉え方が、“もの”の豊かさから“こころ”の豊かさに変わってきていると思うので、働きがいや働きやすさについても真剣に考えていきます」

 

ムラタのSDGsの起点ともいえるMLCCの取り組み。多岐にわたる取り組みの根底には、社会や文化への貢献、「Innovator in Electronics」といった考え方が深く浸透しています。今回、前後編にわたって紹介してきたMLCCのSDGsは、現場レベルでSDGsを推進するにあたって、社員が同じ方向を向くこと、共通の目標を持って行動することがいかに重要であるかを示唆しています。

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