LTE Cat.M1/NB-IoTモジュール

1. LPWAとは
2. LPWAの2つの特徴
3. LPWAの種類と規格
コラム ― LPWAの登場
INDEX -活用事例
4.2 住居や施設のスマート化(スマートホーム・スマートロックなど)
ここでは、LPWAが実際にどのような用途で活用されているのか、その事例をいくつか紹介します。LPWAを利用することにより、遠隔からセンシングしたデータをリアルタイムに収集したり、制御を行ったり、位置を検知したりといったことが可能となります。
生活インフラのスマート化として、電気・ガス・水道などの利用量をLPWAの長距離無線通信で自動的に検針データを収集するスマートメーターの普及が進みつつあります。スマートメーターの設置は、事業者側、利用者側の双方にメリットがあります。たとえば、事業者側は、検針員が現地に足を運んで利用量の数値を目視で調べる手間とコストを削減でき、利用者側は、日々の利用量を把握することができます。また、LPWAにて収集した検針データから、たとえば漏電やガス漏れ、水漏れなどの不具合を事業者側が確認したとき、遠隔制御による供給遮断といった緊急対応も可能となるため、生活環境の安全性向上がはかられます。
このケースにおいてLPWAが利用される場所は、主に住居や企業などの建物があるエリアであることから、セルラーの基地局が充実しています。そのためスマートメーターによる自動検針には、多くの場合、セルラーLPWA(ライセンスバンド)が利用されます。
住居やオフィス、工場、商業施設などの建物内において、先述の生活インフラ以外でもスマート化がはかられています。たとえば、住居の施錠(スマートロック)、空調機器、照明機器など各種家電製品を統合・制御する、すなわちスマートホームやコネクテッドホームを実現することで、利便性・快適性の高い生活環境を整えることができるようになります。また工場やオフィスなどの施設における共有空間や会議室の利用状況・施錠状況を一括管理できるため、管理の煩雑さから解放されるようになります。
これらのスマート化では、以下の理由によりLPWAが検討され、普及しつつあります。
・制御信号やセンシングデータが小サイズであること
・セルラー通信費など運用のコストパフォーマンスに優れていること
・メンテナンスの労力が小さい(電池寿命が10年以上である)こと
・キャリア事業者の基地局との通信接続が安定している地域(多くの人が暮らしたり活動したりする地域)ではセルラーLPWA(ライセンスバンド)、セルラーLPWAでは基地局との接続が安定しない地域(山間部や離島、市街地から離れた地域)でもゲートウェイを使った通信が可能なノンセルラーLPWA(アンライセンスバンド)が選択できること
小型のLPWAモジュールは、小さなデバイスにも搭載できます。たとえばウェアラブルデバイスやトラッカーに搭載することで、人や動物、モノなどの位置情報を取得できることから、これらのデバイスを使った位置追跡(トラッキング)の技術は広く活用されています。
セルラーLPWA(ライセンスバンド)の利用を前提とすると、ウェアラブルデバイスやトラッカーから送信された位置データは、セルラー基地局からキャリア事業者の通信網を経由し、データサーバに届くことによりトラッキングが行えます。この技術により、ウェアラブルデバイスでの子どもの見守りやペットの迷子防止、また荷物輸送においては荷物のトラッカーとして、遠隔からリアルタイムに位置を把握することができます。また、セルラーLPWAでは、接続先キャリアを各国でローミングすることにより、国際物流におけるトラッキングにも対応できます。
長距離通信と低消費電力という特徴をもつLPWAは、環境モニタリングとスマート農業といった分野へも導入が拡大しつつあります。たとえば、山間部や離島、市街地から離れた地域において、モニタリング箇所にさまざまな環境測定センサ(水温・水量・土壌・CO2濃度など)を設置し、ノンセルラーLPWA(アンライセンスバンド)を利用すれば、これらセンサからの取得データを収集できます。これによりモニタリング箇所の状況を遠隔からリアルタイムに把握することができます。またこの事例をもとに、環境センシングからスマート農業(アグリテック)への展開も考えられています。
なお、基地局との安定した通信が可能な町や集落に位置する環境であれば、セルラーLPWA(ライセンスバンド)を利用することが可能です。
屋外で無線通信を使った決済(スマート決済)を実施する際、たとえばWi-Fiを利用すると、ゲートウェイに届く電波強度が低いためにサーバがデータを受信できない場合があります。また、スマートフォンを端末とする4G LTEや5Gといったセルラー方式の移動通信を利用すると、通信費用の負担が大きくなる場合があります。
一方、4G LTEや5Gと同じセルラー方式ではあるものの、セルラーLPWA(ライセンスバンド)を利用すると、移動通信よりも低コストで決済データをリアルタイムに送信できます。LPWAを用いたスマート決済は、屋外レストラン、移動店舗、屋外イベントでの物販、タクシーなどへの活用が期待されています。
睡眠中に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(以下、SAS)と診断された方は、日中に強い眠気や頭痛などが起こることがあります。この症状により、居眠り運転による事故を引き起こすなど、生活や社会に大きな影響をおよぼす場合があるため、SASには治療が必要とされています。その代表的な治療法として、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)が挙げられます。
通常、自宅での使用が多いCPAP装置に対して、出張や旅行などの外出先により気軽に持ち運んで使用したいという患者のニーズがあります。
そこで当社は、送風部品やセルラーLPWAモジュールなどの当社小型部品を採用することにより、持ち運びを容易にした小型・薄型のCPAP装置を開発し、国内で製造販売を開始しました。本製品は、ベースユニットと片手持ちサイズのメインユニットで構成され、メインユニットは取り外して外出先へ持ち運べます。さらに、メインユニットには当社製セルラーLPWAモジュールを搭載し、キャリア基地局への長距離無線通信が可能です。これにより、外出先でも患者の睡眠データがクラウドに送信され、医療従事者は睡眠データをいつでも遠隔モニタリングすることができます。
村田製作所では、小型かつ低消費電力なLPWAモジュールを製造しています。セルラーLPWA(ライセンスバンド)ではLTE CAT.M1(LTE-M)/NB-IoT、ノンセルラーLPWA(アンライセンスバンド)ではLoRaWANと、さまざまな国で利用されているLPWAの規格に準拠した通信モジュールをそれぞれラインアップしています。
村田製作所が世界各地の多種多様な分野・用途に提供しているLPWAモジュールには、以下のような強みや特長があります。
当社のLPWAモジュールは、市場をリードするICメーカーとの強固なパートナーシップと自社で開発製造したコンポーネントを用い、長年培った高度な製造技術と品質管理のもと製造することにより、従来に比べ50%の小型化を実現。ウェアラブルデバイスへのLPWAモジュール搭載においても有効です。世界最小クラスのコンパクトさと安定性・高信頼性の両立と安定供給により、世界のさまざまな国や地域において、多種多様な用途にご利用いただいています。
用途に適したLPWAモジュールの提案はもちろん、各国電波法認証や接続性検証、また、セルラーLPWAモジュールの導入によるライセンスバンドの利用においては、キャリア事業者との連携のご相談まで、お客様のニーズに沿ったサポート体制をご用意しています。
村田製作所では、LTE CAT.M1(LTE-M)/NB-IoTに両対応したセルラーLPWAモジュールと、LoRaWANに対応したノンセルラーLPWAモジュールを製造・販売しています。それぞれ、さまざまな国で利用されているLPWAの規格に準拠した通信モジュールをそれぞれラインアップしています。
移動しながらの通信に適したLTE CAT.M1(LTE-M)と、固定して使用するデバイスの通信に適したNB-IoTの両方のライセンスバンド規格に対応したセルラーLPWAモジュールをラインアップしています。
グローバル認証を取得した世界最小サイズのLTE Cat.M1(LTE-M)/NB-IoTモジュールです。GPS/GNSS、OpenMCU、iSIMをサポート。Truphoneと提携し、MVNOネットワーク通信をeSIM経由で提供可能です。
Type 1SC(LBAD0XX1SC)|LPWA製品
また、複数個のセルラーLPWAモジュールを導入する前に、動作や特性、アプリケーションのテストを実施できる Type 1SC評価用キット もご用意しています。
LTE Cat.M1(LTE-M)/NB-IoTモジュールです。日本国内の認証に対応し、Truphone eSIMをサポートしています。
Type 1SE(LBAD0ZZ1SE)|LPWA製品
なお、Type1SE LPWAモジュールの動作や特性を確認できる評価キットである STMicro Discoveryキット は、当社のビジネスパートナーの一社であるSTMicroelectronics社から入手いただけます。
Type 1SC/1SEのモジュールサンプルもご用意しています。詳しくは コチラ からお問い合わせいただけます。
数あるノンセルラーLPAWAの規格のなかでも通信速度や通信距離のバランスに優れた仕様であることから幅広く支持されている、LoRaWANに対応したLPWAモジュールをラインアップ。
免許不要の規格であるLoRaWANに対応したノンセルラーLPWAモジュール。主要地域の電波法を取得し世界の多くの地域やキャリア事業者網で動作します。
Type ABZ(CMWX1ZZABZ)|LPWA製品
LoRaWAN(ノンセルラーLPWA)入門 - 基礎からIoT活用事例まで(1)
LoRaWAN(ノンセルラーLPWA)入門 - 基礎からIoT活用事例まで(2)
1. LPWAとは
2. LPWAの2つの特徴
2.1 LPWAの特徴(1)―低消費電力―
2.2 LPWAの特徴(2)―長距離無線通信―
3. LPWAの種類と規格
3.1 LPWAの種類 ―セルラーLPWAとノンセルラーLPWA―
3.2 セルラーLPWAとノンセルラーLPWAの規格
3.3 セルラーLPWAとノンセルラーLPWAの仕様の比較
コラム ― LPWAの登場