拡大するeスポーツの市場規模と5Gがもたらす影響のイメージ

拡大するeスポーツの市場規模|eスポーツの国別概況と5Gの影響とは

“eスポーツ元年”と呼ばれる2018年を境に、日本でも大きな注目を集めるeスポーツ。コンピューターゲーム・ビデオゲーム・スマートフォンゲームなどを使った対戦をスポーツとみなすこの競技は、世界規模で発展を遂げています。グローバルな市場規模から国別の概況、普及を後押しする5Gなどの通信環境まで、eスポーツの今と未来を読み解きます。

INDEX

1. 国や文化、分野を超えて発展するeスポーツ

2. eスポーツの世界の市場規模と国別の概況

 ・大会の開催などを通してプロゲーマーの育成に力を入れる「北米」

 ・モバイルでのeスポーツが進む「中国」

 ・eスポーツをいち早く国が推進した「韓国」

 ・市場規模は急拡大するも発展途上にある「日本」 

3. 通信環境と5Gがeスポーツに与える影響

1. 国や文化、分野を超えて発展するeスポーツ

突然ですが、LANパーティーという言葉をご存じでしょうか?複数の人がパソコンやモニターを持参して友人・知人の家に集まり、LAN=Local Area Networkに接続して対戦ゲームに興じるパーティーのことです。パソコンやインターネットが普及した1990年代、アメリカで始まったとされるLANパーティーは、eスポーツの発展に大きな影響を及ぼしました。

そもそもeスポーツとは、「electronic sports」の略称。小規模なイベントだったLANパーティーが多くの観衆を集めた大規模イベントに発展していきました。テレビ画面の前でゲームを楽しんでいた光景は今や昔、世界中のプレイヤーがオンラインでつながり、それを数千万人が観戦するというスタイルに変化しました。大規模な大会には何社ものスポンサー企業が出資し、勝利者に高額な賞金がもたらされることも珍しくありません。

2018年頃、オリンピックの正式種目に採用されるというニュースが報道され、eスポーツの知名度は一気に高まりました。ゲームをスポーツと捉えることにさまざまな議論がある一方、eスポーツは身体的な特徴や性別、障害の有無に左右されないダイバーシティな競技として世界的な広がりを見せています。アメリカではeスポーツ競技者=アスリートとみなされ、高校の授業にeスポーツを採用する州も存在します。eスポーツに必要な反射神経や思考力は、リハビリなどを通じた医療・福祉の分野での活用も期待されるなど、国や文化、分野を超えて注目を集めています。

アメリカでは1970年代に対戦型シューティングゲームの大会が開催されるなど、eスポーツの原型となるイベントが催されていました。

2. eスポーツの世界の市場規模と国別の概況

eスポーツの市場規模は、グローバルで2018年に9億ドル(約900億円)、2021年には16億ドル(約1600億円)に成長すると予測されています[以下、Newzoo社調べ ]。売上の多くはスポンサー料、広告料、放映権、チケット販売、グッズ販売などが占めています。国別・地域別で見ると、市場をリードするのは売上高の40%近くを占める北米(アメリカ・カナダ)。次いで中国、韓国とアジア圏が続きます。国別に概況を見てみましょう。

・大会の開催などを通してプロゲーマーの育成に力を入れる「北米」

世界最大のeスポーツ大国として知られるアメリカは、その規模もケタ違いです。例えば、人気ゲームの2019世界大会の賞金総額は3000万ドル(約30億円)。全世界から4000万人のプレイヤーが参加し、16歳のアメリカ人男性が1位賞金300万ドルを手にして大きな話題を呼びました。あるいは、別の人気ゲームの決勝大会は観客動員約4万人、ライブストリーミング観戦者は約2,700万人と推定されました。

こうした背景には、2002年に設立した世界最大規模のeスポーツプロフェッショナル団体が積極的に大会開催や配信を行い、eスポーツの普及に貢献したことがあります。2013年には政府がゲーマーにプロアスリートビザを発行し、大学や高校などの教育機関でもeスポーツの授業や奨学金制度が進んでいます。主要なライブストリーミング配信プラットフォームはアメリカのメガIT企業が運営しており、今後も市場をリードしていくことが予想されます。

・モバイルでのeスポーツが進む「中国」

アメリカに次いでグローバル市場の約18%を占める中国。特筆すべきは、eスポーツ参加人口が2億5000万人、世界の60%以上を占めている点です(推計)。その理由として、プロゲーマーたちの国際大会での活躍や、「世界eスポーツの都」を目指す上海を中心とした、eスポーツクラブや中継サイトといったインフラの充実が挙げられます。そして、モバイル端末(スマートフォンなど)利用者の多さに伴い、パソコンよりも手軽なモバイルでのeスポーツ人気が過熱していることも大きな特徴です。

・eスポーツをいち早く国が推進した「韓国」

eスポーツ大国であるアメリカに対し、韓国はeスポーツ先進国として知られています。2000年に早くも政府公認のeスポーツ協会が発足し、プロゲーマーの登録制度を開始。翌年には国際的な大会を初開催するなどし、グローバル市場の約6%を占めるにまで成長しました。2018年には韓国におけるeスポーツの歴史を紹介する施設を韓国文化体育観光省の主導でオープン。韓国はeスポーツの先進国であると同時に、聖地として独自のポジションを確立しています。

・市場規模は急拡大するも発展途上にある「日本」

日本の市場は2018年に約50億円、2021年には85億円を超える見込みです。しかし、グローバル市場に占める割合は1%にも届かず、発展途上の段階です。その背景には、高額賞金が景品表示法や賭博罪に抵触する可能性があるなど、法改正を含めた課題が存在します。

一方、2019年10月には国体として史上初となるeスポーツの選手権が茨城県で開催され、東京・大阪・名古屋を中心にeスポーツ特化型の施設が続々と誕生するなど、eスポーツ人気やインフラ整備が加速化しています。

また、eスポーツの今後を占う上で、新型コロナウイルスによるライフスタイルや価値観の変容も無視できません。イベントは中止に追い込まれる一方で、自宅で過ごす時間が増えたことからゲーム機器やソフトの販売数が激増。ライブ配信の数も増えました。ソーシャルディスタンシングなどがニューノーマルとなる中で、今後、“対面しないスポーツ”であるeスポーツはますます存在感を増していくでしょう。

eスポーツの大半をモバイル利用が占める中国。中国企業がリリースしたモバイルゲームは世界的なユーザーを獲得し、モバイルeスポーツの先頭を走っています。

3. 通信環境と5Gがeスポーツに与える影響

遠く離れた場所にいるプレイヤー同士が対戦したり、それを世界中の何千万人もの人が観戦したり、オンラインがベースである以上、通信環境はeスポーツにおける最重要項目です。現に、通信の不安定さからプレイや視聴に遅延が生じ、中断を余儀なくされる大会も珍しくありません。

そんな状況を打破し、eスポーツの普及を大きく後押しすると見られているのが5G(第5世代移動通信システム)です。「高速・大容量」「低遅延」「多接続」を実現する5Gを利用すれば、大勢のプレイヤーが同時にストレスなくプレイできる上、LANなどのデバイストラブルを避けられるメリットがあります。また、クラウド上で処理を行い、モバイルやゲーム機器にストリーミングする「クラウドゲーム」の普及も後押しすると予想されています。

このように、1秒間に交換できるデータ総量=bpsに優れた5Gは、大容量データを扱う配信プラットフォームやストリーミングに大きな恩恵をもたらします。一方で、プレイヤーにとって重要なのは低遅延。コマンドを入力してから生じるタイムラグは、対戦の勝敗を左右する生命線です。低遅延を司るのは、データ送信から応答までの速度を表すping値。5Gはこのping値においても優れており、ゲームプレイ時は低遅延に、ストリーミング時は大容量に特化する技術(ネットワークスライシング)が用いられています。

プレイヤーの端末からプロバイダ、プラットフォーマーなどのサーバまで、5Gがくまなく浸透すれば、eスポーツの世界はより快適なものになり、ARやVRもより身近なものになることが予測されます。日本でも5Gを機に大手通信企業などが続々とeスポーツに参入するなど、5Gがeスポーツの追い風になっていることは疑いようのない事実です。こうした通信環境の整備やグローバル市場規模の拡大、さらにはニューノーマルな社会を踏まえれば、eスポーツのポテンシャルは極めて高いものだと言えるでしょう。

eスポーツの競技人口はテニスよりも多い1.3億人。観戦者は約4億人と、アメリカの人口を超えています。

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