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エンターテイメント分野で進むメタバース・XRの活用

インターネット上に作られた3次元のバーチャル空間を意味し、経済活動や消費行動、働き方などを大きく変える可能性を秘めているメタバース。人々がバーチャル上のショップで商品を購入し、バーチャルオフィスで働く。そんな日常が現実となるのはまだ先のことかもしれませんが、エンターテイメントの分野ではメタバースの活用がいち早く進んでいます。今回は、日常の身近にあるエンターテイメント分野のメタバースおよびその技術についてみてみましょう。

とあるコンテストでは、リアルの会場を模したバーチャル会場をインターネット上に用意し、オンライン参加者がアバターを通じて会場内を回遊できるように設定。バーチャル会場にはリアル会場内の参加者を示すアバターも表示され、まるでリアルとバーチャルの参加者が一緒にイベントに参加しているかのような一体感を生み出しました。こうしたリアルとバーチャルのハイブリッド型イベントは、コロナ禍による非接触が重視される今、ますますニーズが高まっていくでしょう。

また、大手映画興行会社は、バーチャル空間に映画館を開設。ユーザーは自分のアバターを使い、ネット上に構築されたバーチャルのシネマコンプレックス内を自由に移動できるほか、実際の映画館と同じように、好きな映画を選んでオンラインで視聴することができます。自宅にいながら、まるで映画館へ赴いたかのような体験を味わえるサービスとして注目を集めています。

アバターを通じて参加できるイベントのイメージ画像
アバターを通じて参加できるイベントのイメージ

演劇や音楽ライブ、ゲームで進むXRの活用

メタバースで用いられているのは、VR(仮想現実)と呼ばれる技術。ユーザーはヘッドマウントディスプレイなどを装着し、コントローラーなどでアバターを操作し、VRの中を回遊する仕組みです。このVRをはじめ、現実世界にバーチャルコンテンツを融合させるAR(拡張現実)、VRとARを組み合わせたMR(複合現実)などの技術はXR(Extended Reality)と総称されています。日本の行政機関である経済産業省によると、世界のXR市場は2017年の140億ドルから2022年には2,087億ドルに成長すると予測されており、メタバースの発展と共に熱い視線が注がれています。

このXRもまた、エンターテイメントの分野でさまざまな活用が進んでいます。たとえば、演劇や音楽ライブなどの舞台演出としてXRが使用されるケースが増えています。壁や床がグリーンバック、あるいは大型高精細LEDディスプレイで構成されたXR専用のスタジオでパフォーマンスすることで、背景に映像を映し出して世界観を演出したり、臨場感を高めたりすることができます。

大手レコード会社では、ステージの背景となっているディスプレイ上にバーチャルコンテンツを映し出し、ステージ上のアーティストの動きとリンクさせ、さらに音響や照明で演出を引き立てるVRイベントを実施。ヘッドマウントディスプレイを装着したオーディエンスはライブ会場の360°を見渡すことが可能で、実際にライブ会場にいるかのような臨場感を得ることができます。

エンターテイメントの分野において、最もXRを活用しているのがゲームだと言えます。ヘッドマウントディスプレイを装着し、バーチャル空間でゲームを楽しむことでより高い没入感を得られるため、VRゲーム市場は急速に拡大。2020年にヘッドマウントディスプレイの装着が必須のVRゲームが大ヒットを記録し、VRゲームに限定したeスポーツの大会も開かれ始めています。

VRゲームのeスポーツ大会では、ヘッドマウントディスプレイに加えてプレイヤーの動作を感知するデバイスを装着して行われるものもあり、歩く、走る、しゃがむといったリアルな動きが仮想空間上のキャラクターに反映されます。また、コントローラーから振動などを与え、触覚を再現するハプティクス技術(触力覚フィードバック)とVRゲームを組み合わせ、より高度な体験感・臨場感を提供する取り組みも進んでいます。

VRゲームやヘッドマウントディスプレイ、メタバースなど、関連する市場が急成長を遂げているXR。メタバースが社会全体に浸透するには欠かせないこの技術は、今後、ますます進化と成長を遂げ、エンターテイメント分野の新たな可能性を広げていくことでしょう。

XR技術を用いてバーチャル空間が表現されたスタジオのイメージ画像
XR技術を用いてバーチャル空間が表現されたスタジオのイメージ

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