DLW5BTM102TQ2

ノイズ対策技術 / 事例紹介(民生)
INDEX
大手スマートフォンメーカーが新規のワイヤレス給電方式であるマグネット式ワイヤレス給電器を自社製品向けに発売しました。これに伴い、その他多くの企業から類似品が発売されています。
本記事では、新規のワイヤレス給電方式を採用したワイヤレス充電器とその類似品においてノイズ問題を調査しました。また、観測されたノイズの対策方法について検討しました。
ノイズ評価は、純正品1モデルと互換品4モデルを用意して行いました。
評価環境については以下のような形で行いました。
純正品では放射ノイズレベルがかなり小さく問題ありませんでした。互換メーカー品2、互換メーカー品4ではCISPR32の規格を満足しない結果となりました。ノイズ状況を確認したところ、ACアダプタを変更することでノイズ波形が変化していることからノイズ源はACアダプタであると予想しました。
ACアダプタがノイズ源と思われるため、ACアダプタから放射源であるケーブルにノイズが流入することを防ぐため、ケーブルとUSB-Cコネクタの接合点にコモンモードチョークコイル(CMCC)を追加して、ノイズの放射が抑えられるかを確認しました。
CISPR32の規格は依然満足できないものの、CMCCの追加により30MHzから500MHzのほぼ全周波数範囲で10-20dBのノイズ抑制効果が確認できました。60MHzで悪化したのはCMCCのLと周辺Cの共振によるものであると思われます。
CISPR32の規格は依然満足できないものの、CMCCの追加により30MHzから1GHzのほぼ全周波数範囲で10-15dBのノイズ抑制効果が確認できました。80MHzで悪化したのはCMCCのLと周辺Cの共振によるものであると思われます。
スマートフォンが私たちの生活に欠かせないデバイスになっていることで、充電器も付随して欠かせないものなっています。
新たに登場したマグネット式ワイヤレス給電式も、ノイズ対策が重要です。
今回、放射ノイズ評価の結果、純正品ではノイズレベルが最も低く、互換メーカー品のうち2製品においてCISPR32規格を満足しない結果となったため、対策 方法を検討しました。
その結果、CMCCをケーブルとUSB-Cコネクタの接合点に追加することで大きいノイズ低減効果を確認できました。
このようなノイズに対してはコモンモードチョークコイルの挿入が効果的です。