インダクタガイド

インダクタの基礎 【第5回】 インダクタの実装技術

本コラムはインダクタの基礎を解説する技術コラムです。

【第5回】インダクタの実装技術

第5回は、インダクタ商品の実装技術について解説いたします。

「インダクタ」と一言で言っても、ムラタで商品化しているインダクタの種類は大きく分けて3種類の構造があります。(詳しくは【第4回】 インダクタの構造をご参照ください。) 

また、それぞれサイズの小さなものから大きなものまで多種多様の商品がラインナップされています。近年、セットの小型化需要により、インダクタ商品においても部品の小型化が急速に進展してきており、これら部品の基板実装においても高度な実装技術が要求されるようになってきました。そこで、今回はインダクタ商品の実装に関する注意点について、過去の事例の中からいくつか紹介させていただきます。

(1)高周波用巻き線横巻きインダクタ(LQW15シリーズ)の実装について

この商品は一般的な積層セラミックコンデンサなどと異なり、2端子部品でありながら、高いQ特性を得るために部品の下面だけに電極を形成する構造になっています(図1)。このような部品の場合は、下面電極の表面積に見合ったはんだ量を供給する必要があります。

実装不具合としては、部品が傾いた状態で実装される(図2)、あるいは、ランド上にθずれした状態で実装される(*1)(図3)といった事例があります。これらの不具合は、部品の下面電極の表面積に対して、適量以上のはんだを供給したことが原因です。

このような不具合を未然に防止するためには、リフローはんだにて、基板ランドへのはんだ供給量を電極面積に応じて適切にコントロールする必要があります。弊社では、カタログの実装情報ページなどで、適切なランドパターンやはんだ印刷パターンを提示しています。

*1) θずれ:図3のようにランドに対し部品がある角度ずれているもの 

 

(2)高周波用フィルムタイプインダクタ(LQP02シリーズ,LQP03シリーズ)の実装について

セットの小型化に伴い、実装面積を最小化するため、そこに使用される部品は1005サイズから0603サイズへ、さらに近年では0402サイズへと小型化が急速に進んでいます(図5)。

このような極小部品においては、僅かな実装環境の変化によって実装不具合を招くことがあります。

例えば、部品の片側がはんだに接触せず立ち上がるツームストーン現象(マンハッタン現象)と呼ばれる実装不具合です(図6)。

原因としては、下記の事が挙げられます。


①部品がマウンタで基板に搭載される際にずれた
②部品の左右ランドへのはんだ供給量にばらつきがあった
③リフロー時、部品の左右ランドで温度差がある
(大型部品が隣接していたなど)
④レジスト印刷ずれや基板設計時点で左右ランドの大きさが違う
⑤基板設計時のランド寸法が必要以上に大きい

上記のような環境で実装することがないよう十分配慮する必要があります。

 

(3)0402サイズインダクタのテーピング仕様(W4P1プラスチックテープ)について (*2)

現在商品化されている1005サイズ以下のインダクタの多くは、テーピングの材料に紙テープを使用しており、最も小さい0402サイズの高周波用フィルムタイプインダクタLQP02シリーズも商品化当初は紙テープを使用していました。

しかし、紙テープの場合、輸送時や保管時の湿度変化によりキャビティ寸法が変化するという問題がありました。部品サイズが小型になればなるほどその影響は大きくなり、狭隣接実装や高信頼性実装面で本来の実装品質が得られなくなる危険性が指摘されていました。

この対策として、積層コンデンサで既に実績があり、実装インフラも整備されてきたW4P1プラスチックテープのテーピング仕様をLQP02シリーズにも採用しました。
図7に、従来の紙テープとW4P1プラスチックテープの高湿度状態におけるキャビティ寸法の変化を示します。図8では、W4P1化に伴うメリットをまとめています。今後は、LQP02シリーズのW4P1プラスチックテープ化を積極的に推進して参ります。

*2
・W4P1:テープの幅(W)が4mmで部品のテーピングピッチ(P)が1mmのPLASTICテープの仕様
(今回ご紹介したプラスチックキャリアテープ仕様)

 ・W8P2:テープの幅(W)が8mmで部品のテーピングピッチ(P)が2mmのPAPERテープの仕様(図8)
(現行紙キャリアテープ仕様)

図7.湿度によるキャビティ寸法の変化
図8.W4P1エンボステープの効果

インダクタ部品の実装技術について紹介しましたが、これらの課題は、積層コンデンサをはじめとするチップ部品全体に共通して言える事です。ムラタでは、お客様に弊社の部品を安心して使用していただくために、テーピング仕様の最適化やお客様への実装技術サポートなど、今後とも実装に関するソリューションの提供を行って参ります。

 

担当:福井村田製作所 コンポーネント実装技術部 Y.H

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