インダクタガイド

第二世代のフィルムインダクタはココがすごい!

9/28号でご紹介したインダクタ開発秘話【第2回】初めてのフィルムタイプインダクタ LQP31Aシリーズ の誕生についてありましたように、先輩方の努力の結晶ともいえるLQPシリーズは、市場要求に応える形で小型化されてきました。今では業界最小である0.4 x 0.2mmの0402サイズ(mm)のインダクタも徐々に需要が高まってきています。更には、世界で初めてとなる0.25 x 0.125mm のチップインダクタ0201サイズ(0.25×0.125mm)もムラタは開発しました。

 

このように小型化が進むLQPシリーズですが、現在高周波インダクタで主要市場となっているのは0.6 x 0.3mm の0603サイズ(mm)です。ムラタの部品も、スマートフォンなどの小型モバイル内で活躍しています。その代表例としてLQP03TN_02シリーズについての歴史と特徴をご紹介したいと思います。

 

弊社は、2000年に0603サイズ(mm)の高周波インダクタLQP03TN_00シリーズ(0.6~56nH)の商品化を行いました。このシリーズは、LQP03TN_02シリーズの旧バージョンに相当し、フォトリソ工法を用いてコイルパターンを形成することで、0603サイズ(mm)として業界トップクラスの高Q特性を実現しており、これにより携帯電話市場で多く採用されました。図1に、LQP03TN_00品の断面形状を示します。

図1 LQP03TN_00シリーズ断面図とLQP03TN_02シリーズ断面図

本商品は、フォトリソ工法による直線性・寸法精度のよい電極が形成されています。(図2参照)

図2 フォトリソ工法と積層工法の電極形状の違い

このため、同業他社が多く採用する積層工法と比較して、高いQ特性を実現することができました。ただし、チップの下半分が土台の基板で形成しているため、内部電極を形成できる設計範囲が限定されており、56nH以上にインダクタンス値を拡大することが難しい商品です。
この課題を克服するためには、土台の基板を取り除きチップ全体を設計スペースとしてフル活用する必要があります。このため新たな工法の開発取り組みを行い、2007年にインダクタンス値拡大品としてLQP03TN_02シリーズの商品化を行いました。本シリーズのインダクタンス範囲は、商品化当初は68nH~120nHであり、品種は4アイテムのみでした。
こうした中で、市場における小型化と高機能化の流れは加速していき、これに合わせて0603サイズ(mm)のインダクタに関しても高Q化ニーズの高まりをむかえています。この要求に応えるべく、LQP03TN_00シリーズの全アイテムを更に高Q化する開発を行い、2009年に0.6nH~120nHまでのインダクタンスラインアップをフル拡充した新LQP03TN_02シリーズの商品化を行いました。

本シリーズの断面形状を前出の図1で示します。
特徴であるフォトリソ工法による直線性・寸法精度のよい電極形成は維持しつつ、設計スペースをフル活用して、コイルパターンの適正化を行い、効率よく磁束を発生させることで高Q化を可能にしています。

図3にLQP03TN_00とLQP03TN_02の10nHの周波数-Q値特性比較を示します。このグラフからもわかるように更なる高Q化が達成できていることがご理解いただけると思います。

図3  LQP03TN_00とLQP03TN_02の10nHの周波数-Q値特性比較

現在LQP03TN_02シリーズは、2012年9月に0603サイズ(mm)にて業界最大となる270nH(2012年10月現在当社調べ)までインダクタンス値を拡大し、幅広いラインアップを整備しております。これにより、今まで以上に自由度の高い回路設計が可能になっております。
今後も、更なる小型化、多機能化、狭偏差化などの多様なニーズに対応すべく、新しい商品展開についても行っていきます。

 

村田製作所 コンポーネント事業本部 S.S

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