コンデンサガイド

オメガキャップ ◆開発者の熱き想い◆

誕生してから300年が経とうとしているコンデンサ。現代、それは用途により様々な形態に進化し、様々な分野で活躍している。セラコン、特にHiCap*1においては、小型かつ高容量な商品が求められ、今も尚その進化は留まることを知らない。

ところが、遡ることわずか二年前、そのような世の中の流れとは完全に逆行し、超大型超高容量セラコンを作ろうとした頭の痛い集団がいた。彼らが生み出そうとしたその超巨大コンデンサの名はオメガキャップ。今尚、伝説と語り継ぐ者が多いコンデンサである。

この話は「世に無い画期的な新商品を作ろう」という小集団的取組がきっかけで始まったとのこと。その際、たまたま揃ってしまった頭の弱いメンバーにより、世に無い=世界一巨大なセラコンという幼稚な発想が生み出されてしまった。マーケティングというビジネスの基本を完全に無視、同業との圧倒的な技術力の差を誇示したい/セイサク君に並ぶ村田のシンボルを世に送り出して目立ちたい/小さくて見えないセラコンを無理やり見える大きさにして村田の主力製品を世間の人にPRしたいという「高みを目指したい」「もっと目立ちたい」という技術者としての本性が彼らを駆り立てた。
目標を2012サイズ(単位:cm) 、1Fに設定し、彼らは何も考えず、とりあえず作り始めた。
...しかし、オメガキャップ作りは困難を極め、彼らの知見だけでは全く先に進めなかった。

そこで彼らは嘲笑と罵声を覚悟で様々な分野の有識者の方々に助けを求めた。すると、我々の熱意を受け止めた彼らは持てる知見を余すことなく教えてくれた。組織の壁が崩れた瞬間だった。感謝の気持ちで涙した者もいたとかいなかったとか。度重なる失敗を乗り越え、第一弾形状サンプルを完成させた彼らは歓喜に沸いた。

しかし、2008年の世界同時不況の到来により、彼らの夢は真っ先に「無用の長物」として斬り捨てられ「伝説」のみが残った。...あたりまえだ。世間は彼らを嘲り、唾棄されて当然の取り組みと見なすだろうが彼らはそうは思っていない。彼らが得たのは普段接点のない部門との交流、個人ではなく組織で物事を進めることの楽しさとやりがい、無謀ともいえる技術の限界に本気で挑む技術者としての原点。筆者の単なるつぶやきだが、これからもこういった取組を通じた幅広い人脈形成や挑戦が、個人はもとより組織や会社が成長するうえで大切になるのではなかろうか。

開発メンバー
オメガキャップ形状サンプル

*1 ムラタでは静電容量1.0μF以上のコンデンサを「HiCap」と呼んでいます。

担当:福井村田製作所 第二コンデンサ商品開発部 吉井 直人

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