インダクタガイド

インダクタ開発秘話【第5回】LQHはんだ付け実装技術の推移

「インダクタ開発秘話【第3回】トリミングで超狭偏差を実現したLQSシリーズ」は最高峰の性能を有した商品でしたね。完全閉磁路/超高Q/±2%峡偏差、そしてなにより信頼性試験後の変化率±0.2%と言う驚愕の性能で、アナログ回路設計者から大好評を得た商品でした。さて今回は、実装環境変化に追従していったLQHシリーズの電極形状とはんだ付け実装技術の推移のお話です。

【段付き?】

初代LQN5N二代目LQH32Mタイプが生産された頃は、一部のハイブリッドIC基板へのリフロー実装があるものの、リード付き部品基板の裏面へのフロー実装が主流でした。基板ランドの中央部あるいはチップ部品電極の中央部に接着剤を塗布し硬化してからフローはんだ槽に投入する実装方式です。CRチップ部品と比べて大きいサイズのLQHシリーズは、はんだ流動抵抗を受けて脱落しやすく、電極間中央に突起を設けて(段付きコアと呼んでました)対応しました。今から思うとスタンドオフの逆形状ですね。さすがに今ではもうありませんが。

 

【低Q品?】

噴流フローはんだ実装が主流になってくると、電極クワレの無いはんだ耐熱性の高い部品が求められるようになりました。Ag電極AgPd電極から、Ni+Snめっき電極に変更するわけですが、ここで大きな技術課題が生じることに。Niは強磁性体なので、Ag厚膜+Ni+Snめっきの層構造電極に磁束を集中させ、Q値が大きく低下したのです。ここで逆転の発想です。コイルの用途には、損失が大きい=Q値が低いほど性能が良いチョークコイルがあることに気づきます。当時コイルを用途別に分けて販売する習慣はなかったのですが、「チョークコイル専用チップインダクタLQH32Cタイプ」として商品化するや、多くのお客様から注文を頂きLQHシリーズの成長に繋がる商品になりました。

【新しい電極形成方法?】

さて、高Q値の商品改良も残っています。これには相当苦労しました。磁性を抑え、比抵抗も高いNi合金を探すことに明け暮れる毎日でした。当時の電解めっき無電解めっき技術の中では、非磁性高抵抗の材質と薄い膜厚制御を両立することが難しかったのです。そんな中で一つの大きな決断をすることになります。Ni合金だけでなく金属全般が可能で、精度良く薄い膜厚制御が可能で、電極固着力がめっぽう強く、いろいろな電極形状も可能な電極形成工法の採用です。半導体製造に用いられる高価な設備投資を必要としましたが、TOPの英断によりこの電極形成方法が全てのLQHシリーズに展開されました。これにより、はんだ耐熱に優れ、同時に高Q値高性能のLQHシリーズに進化しました。

今回は、少し昔のはんだ実装技術推移に伴うチップインダクタLQHシリーズ電極の変遷のお話を3つしました。もちろん現在も実装環境の変化に追従し多くの電極改良を続けているLQHシリーズです。

LQHシリーズ

EMI事業部/第4セラミック製造部 T.M.

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