データを扱うプロフェッショナルのためのコミュニティ「平野町アナリティクスHub」とは
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さまざまな分野でIoTが進む昨今、溢れるデータの中から必要なデータを抜き出して情報化し意思決定に活用するデータアナリストやデータサイエンティストなどのプロフェッショナルの存在が、企業や組織の競争力に欠かせなくなっています。
一方で、データ活用のプロフェッショナルは企業や組織内では営業や販売、製造など従来の業種に属さない特別な職種であるため情報収集やスキルアップの方法がわからず、悩みを抱えるケースも多いのではないでしょうか。
村田製作所も参加する平野町アナリティクスHubとは、どのようなコミュニティなのか。その発足の経緯や活動内容、さらに参加者の声などを交えて紹介します。
1. 平野町アナリティクスHubとは
データ活用のプロフェッショナルが集うコミュニティ「平野町アナリティクスHub」は、業種・企業・組織・分野の垣根を越えて交流し、データ分析に関する技術の習得やスキルアップの方法、さらに悩み事の相談など日々の業務に役立つ情報交換の場です。
2017年の発足以来、すでに関西で活躍する多くの企業が参加しており、近年のIoTやAIの普及と進歩を背景に活躍の場を広げています。
2. 平野町アナリティクスHubの発足と運営目的
平野町アナリティクスHubの発足。それは「関西」という地域が持つ産業の特徴に由来します。関西には製造を生業とする企業が多く存在します。そのような関西の企業や組織で活躍するデータ活用のプロフェッショナルが集うコミュニティである平野町アナリティクスHubが発足した背景と運営の目的、さらに目指すゴールについて紹介します。
発足―関西ならではのコミュニティを
IoTの普及と近年のデジタル化により、企業や組織には多くのデータが蓄積されるようになりました。特に製造業では工場に設置された多くのセンサや加工装置から集められるデータは膨大な量であり、その活用に苦慮するケースも多く見られました。
これらの課題の解決には、企業や組織を超えたコミュニティが必要ではないかと感じ、大阪ガス株式会社に所属しておられた河本教授を中心に、関西で活躍する各企業のデータ活用のプロフェッショナルが賛同することで平野町アナリティクスHubの発足が実現しました。
運営目的―孤立からの解放とスキルアップを目指して
発足当時、企業が収集したデータを解析し、ビジネスに活用するという業務は専門的な知識やスキルを必要とし、さらに実務に活かすノウハウを得る場がなく手探りで進める状態でした。
そこで、企業に勤務するデータアナリストやデータサイエンティストが集い交流する場を設けることで、ビジネスでデータ活用する機会と学びを醸成し、関西で活躍する企業や組織の活動をさらに盛り上げることを目指しました。また、情報交換やディスカッションを通じてデータ活用のプロフェッショナルとしてのスキルアップも実現できるコミュニティであることも重要な目標でした。
3. 平野町アナリティクスHubに所属する企業と活動内容
平野町アナリティクスHubには多くの業種の企業や組織が参加しています。このような多種多様な価値観が存在するコミュニティの活動を実りあるものにするため、平野町アナリティクスHubではさまざまな取り組みが行われています。ここでは参加企業や運営上の配慮、運営方針などについて紹介します。
参加企業―業種の壁を越えて
エネルギー事業の企業や大手家電メーカー・電子部品メーカーといった電気産業、さらに飲料品など、幅広い業種の企業が参加しています。参加者は、それぞれの企業で活躍するデータ活用のプロフェッショナルであり、業種は異なるもののデータ活用という共通する業務の上での異業種交流を実現しています。
活動内容―幅広いテーマへの取り組み
業種の壁を越えたコミュニティであることから、幅広いテーマに取り組んでいます。たとえば、これまでにはデータ活用のプロフェッショナルの育成やデータ解析ツールの活用法、デジタル戦略への取り組みなどをテーマとして扱ってきました。このようなデータ解析に関する専門的なテーマについて深く議論することで、社内では得られない刺激や成長を実感できるコミュニティになっています。
運営方針―本会のしくみ
平野町アナリティクスHubの本会は定期的に行っており二部制となっています。一部は情報共有の場であり、二部では参加者間によるディスカッションを行います。一部のみでは発表者からの一方向の情報提供になる可能性があるため、二部のディスカッションで自由闊達な議論ができます。このように、情報共有と活発な議論が行える場であることが運営方針の中心になっています。
4. コミュニティだからこその魅力
発足当初は企業・組織内におけるデータ分析の組織の立ち上げなどに関するテーマが中心でした。しかし、最近ではデータ解析ツールや生成AIの活用など具体的な技術に関するテーマを多く取り扱っています。進歩と変化を続けるデータ解析の世界でのコミュニティならではの魅力について紹介します。
プレーヤーとサポーターという関係の構築
平野町アナリティクスHubには企業からの参加者(プレーヤー)の他に、サポーターと呼ばれる支援者も所属しています。サポーターはプレーヤーを支援する企業や組織であり、プレーヤーにデータ活用の知識やスキルの習得に必要な費用などを提供します。これにより、プレーヤーは充実した環境の中で高度な教育を受けることができます。
一方で平野町アナリティクスHubとしては、サポーターへの価値の還元も必要であると考えています。具体的には、サポーターから提供されるツールをプレーヤーに操作していただき、有効性を実感していただくという活動にも取り組んでいます。
会を盛り上げる工夫―ディスカッションとサブワーキングの存在
近年では新たな世代の方々が加わるようになり、早期からの参加者と近年から参加するようになった方々双方が、さまざまな技術やノウハウを教え合うという取り組みも行っています。このように、参加者の業種や世代のバリエーションが増えてきたため、ディスカッションでは参加者を新旧メンバーで分けたり混ぜたり、テーブルごとにテーマを分けたりなどといった工夫をしています。
また、サブワーキングではコミュニティの醸成やツールの勉強会、人材育成など細分化されたテーマをピックアップ。サブワーキングごとに似た傾向の参加者が集まるため、より濃密な交流を望むことができます。
5. 参加者の声
では、参加している方々がこのコミュニティで得られた価値について、どのように感じられているのでしょうか。以下にその答えを得るべく、平野町アナリティクスHubに参加する方々を対象にアンケートを行いました。
同じ志を持つメンバーとの交流から刺激を受けた
まず目を引いたのは「同じ志を持つメンバーとの交流から刺激を受けた」という回答がもっとも多く、「新しい視点を得て、仕事への意欲が高まった」がそれに続いた点です。回答の理由としては「具体的な事例やアドバイスを頂くことができた」「自分達の進め方の方向性が間違っていないことが確認できた」「他社の取り組みを参考に、自身の仮説の正しさの確認や仮説を磨くことができた」などがありました。これは平野町アナリティクスHubに集う方々のデータ活用技術のレベルの高さを示した結果であると思われます。
多様なバックグラウンドを持つ人々とネットワークを築けた
続いて多かった回答が人と人との関わりについての回答です。「多様なバックグラウンドを持つ人々とネットワークを築けた」との回答がその価値を示しており、「悩んだ時に相談ができる関係性が構築できているというのは大変心強く感じている」「多くのプロフェッショナルの考え方などを知ることができ、自身の成長に活かせている」という意見がありました。これは平野町アナリティクスHubが、オープンな人間関係の構築に役立っていることの現れであると思われます。
知識やトレンドを習得することができた
「最新技術やトレンドについて学べた」「データドリブンな組織づくりに関する知見やアドバイスを得られた」という回答は、多様な分野からデータ活用のプロフェッショナルが集まったコミュニティならではの価値であると思われます。さまざまな企業や組織が持つノウハウや技術を知識として得て、そこからトレンドを知るということは、平野町アナリティクスHubだからこそ得られる価値であり、それはメンバーが所属する企業や組織に還元されることが期待できるメリットであると思われます。
6. 編集後記―コミュニティとしての価値
平野町アナリティクスHubの事務局は、自らのコミュニティについて「参加者どうしの仲の良さや会の盛り上がりにより、世代を超えた新メンバーが参加し交流できるコミュニティである」と強調します。同時に、「このコミュニティに従業員を送り出してくれている企業への価値の提供も重要」とも力説されています。企業への価値の提供は、参加する従業員のスキルアップにより実現できていると思います。しかし、平野町アナリティクスHubは企業への直接的な価値の提供も重要な役割であると認識しています。
データアナリストやデータサイエンティストといった人材を平野町アナリティクスHubに送り出してくれる企業、さらにサポーター。これらすべてに対して価値を提供することで平野町アナリティクスHubの存在感が高まり、このコミュニティに参加しているということが企業や組織、そして個人の価値になることを目指す。平野町アナリティクスHubとは、そのような価値の関係性を追い求めるコミュニティであると感じました。