ノイズ対策部品/EMI除去フィルタ/ESD保護デバイス

ノイズ対策ガイド
技術者によるノイズ対策手法をいろいろなアプリケーションでご紹介します。第1弾は、ワイヤレス給電のノイズ対策ソリューションについて、開発担当から直の声を前後編に分けてお届けします。
A.入社して11年目になります。
薄膜プロセスの工法開発、SAW フィルタの設計、SAW フィルタとコイルを使ったモジュール設計を経て、
現在は、コイルを使って、さまざまな電子機器におけるノイズ対策手法を確立していく仕事に携わっています。スマートフォンやテレビなどの電子機器がノイズを受けると、誤動作したり電波を受信できなくなったりします。このため、電子機器では、ノイズを外に出さないように、ノイズが入ってきても誤動作しないように、多くのノイズ対策部品が使われています。
しかし、ノイズ対策部品はやみくもに使っても効果は得られません。
ノイズ問題を解決するためには、ノイズ干渉メカニズムを理解して、適切な場所に適切な部品を使う必要があります。
このため、ノイズ問題で困っているお客様と共同でノイズ問題を解決したり、市販品を購入してノイズ問題の調査やノイズ対策手法の検討を行ったりしています。最近では、スマートフォン向けのワイヤレス充電器のノイズ対策手法の確立に注力していました。
A.ワイヤレス給電とは、その名の通りワイヤレスで電力を伝送する技術です。これまでの電源ケーブルをスマートフォンに差し込む充電方式と異なり、充電台の上に置くだけで充電ができる特徴があります。
図1に示すように、「充電器(送電側)のコイルに交流電流を流すことで磁束が発生し、その磁束がスマートフォン(受電側)のコイルに結合することで誘導電流が流れる。」という電磁誘導の原理を用いて充電を行います。
A.ワイヤレス充電器では、図2に示すように、①充電中に100MHz以下の低い周波数帯における放射エミッション(空間に放出されるノイズ)が大きくなる、②充電中にテレビ放送や音声・データ通信の受信感度が悪くなる、と言った2つのノイズ問題が発生していました。
充電中にワンセグの放送が受信できないとか着信を受けられない、メールが受信できないとなると問題ですよね。
A.ノイズ源は約100kHzで駆動しているインバーターでした。この高調波成分が1GHz付近まで存在し、さまざまなノイズ問題を引き起こしていました。
また、電源ケーブルから放射したノイズが放射エミッションとして観測され、送電コイルから放射したノイズがスマートフォンのアンテナに結合して受信感度の抑圧を引き起こしていました。
これらのノイズをどのような方法で低減させることができるのか?
後編では効果的なノイズ対策についてご説明したいと思います。
担当 : 株式会社村田製作所 EMI事業部商品開発部
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