スマートビルの設備管理を探る―みなとみらいイノベーションセンター機械室ツアーのメイン画像

IoTツール導入による施設管理の課題改善

スマートビルの設備管理を探る―みなとみらいイノベーションセンター機械室ツアー

神奈川県にある村田製作所みなとみらいイノベーションセンターは、IoTにより快適な環境と省エネ、安全性を実現したスマートビルであり、その機能を支える設備機器は、地下のフロアにあります。今回は、建物の心臓部ともいえる機械室と中央管理室に導入されている技術について、設備管理を担当する芳賀、東京支社で営業を担当する山本が紹介します。

整然としたフロアと安全性への配慮

芳賀:一般に設備機器が設置されている機械室というと照明は暗くて床には粉塵や油じみがあるという印象ですが、ここの機械室はきれいに掃除・整理された近未来的な佇まいです。

山本:高温や低温になる機器や配管には、すべて断熱材が巻かれていて、これは作業者が触れてけがをする危険を防止するほか、結露による劣化を防いでいます。

芳賀と山本の画像
設備管理を担当する芳賀(左)と営業を担当する山本(右)

センサの活用例

フロアを歩いていて気付くのは、各所に設置されたカメラとセンサの多さです。これらのセンサで収集したデータは中央管理室に送られ、AIにより解析されます。
ここでは、数多くのセンサの中から、代表的なセンサおよびカメラの機能と活用事例を紹介します。また、どのような検知・検出ができ、どのようなメリットがあるのかについても説明します。

異常な振動をいち早く検出する―振動センサ

山本:振動センサはモータやモータのシャフトの振動を測定します。マグネットによる脱着が可能なので、取り付けた位置が不適切だったり不要となったりした場合は、簡単に取り付け位置を変えたり取り外したりすることが可能です。振動センサで振動を検知することで、グリースアップなどのメンテナンスを適切なタイミングで行うことができるほか、メンテナンスの効果も確認することができ予知保全にも役立ちます。

振動センサと振動センサをモータに取り付けた例の画像
振動センサと振動センサをモータに取り付けた例

わずかな漏水も検知―漏水センサ

芳賀:漏水センサは本体に取り付けた漏水検知帯で漏水を検知します。たとえば、給水ポンプの床周辺に設置すると、不意な漏水をいち早く検知し保全を行うことができます。

山本:温冷水を取り扱う室外機や大小の配管周辺など、利用範囲は広いです。また、わずかな漏水でも検知することができます。

漏水センサ設置例の画像
漏水センサ設置例

検針の手間を大幅削減―数値読み取りカメラ

山本:数値読み取りカメラは、メーター表示を読み取るカメラです。針メーターもデジタル表示メーターも読み取ることができます。一台のカメラで複数のメーターを読み取ることができ、検針の手間を大幅に削減できるばかりでなく、常時数値を読み取ることができます。

数値読み取りカメラによる検針の画像
数値読み取りカメラによる検針

設備管理の頭脳―中央管理室

これまでに紹介したセンサやカメラは、すべて無線でルーターを介して中央管理室につながっています(カメラはWi-Fi、センサは920MHz(特定小電力無線))。無線通信なので有線通信ケーブルを設置する必要がなく、電池駆動なので電源ケーブルの設置も不要です。このようなセンサやカメラで収集したデータはどのように活かされるのでしょうか。そのメリットについて、以下に紹介します。

すべてのセンサとメーターを集中管理+AI解析

山本:設備のメーターに取り付けた数値読み取りカメラからの画像は、中央管理室で確認することができます。また、読み取った画像はAIが解析し、異常があった場合は中央管理室へ通知します。

芳賀:多くの空調機器や電気設備、そのほかのユーティリティー設備が設置されているフロアは広く、メーターの数も相当な数におよびます。そのため巡回するには長い時間を要します。数値読み取りカメラで各メーターを撮影し、中央管理室で監視することで巡回の回数を減らすことができ、一回当たりの巡回時間も短縮することができます。

複数をメーター一括表示の画像
複数をメーター一括表示

デマンド値の把握による省エネ

芳賀:センサにより、短いサイクルでのデータの取得が可能であり、それをリアルタイムでグラフ化し可視化することが可能です。これにより電力や冷熱、蒸気のデマンド値*1を正確に把握することができます。エネルギーコストを可視化できることで、最適な省エネが可能であるばかりではなく、省エネへの取り組みを実感することができ、作業者の設備管理に対するモチベーションの向上につながります。

*1 デマンド値:ある30分間に消費した電力や蒸気の平均値のこと。

デマンド値のグラフ
図1 センサからのデータを基にデマンド値を算出

正確な報告書を自動で作成

山本:各センサから収集したデータを基に、部門ごとの電力・熱源使用量などの報告書を簡単に作成することができます。またエネルギー原単位も自動作成することができます。これらを自動作成することにより、報告書作成の属人化を排除し、必要な部門や関係者へのタイムリーな報告を実現しています。さらに、手書きからのデータ入力時に発生する手間やミスも低減することができます。

芳賀とPCの画像

みなとみらいイノベーションセンターの設備管理とは

芳賀:IoTツールの導入による設備管理のスマート化は、各地のムラタの工場から始まりました。そこで製造される電子部品は温度や湿度に対して繊細であり、かつライン停止は大きな損失につながります。そのような工場の設備を安定的に稼動させるには、データを基にしたより高度な設備管理が必要であり、設備管理作業のスマート化は欠かせない取り組みでした。

山本:みなとみらいイノベーションセンターの設備管理のスマート化は、工場における設備管理の技術を基盤に、さらにスマートビルにも対応できるよう進化させた試みです。
今後は監視ロボットを活用した省力化や、クラウドサービスを利用した、遠隔のビルや工場の設備状態の一元管理などに取り組むなど、我々が取り組むべき課題は、まだまだあると思っています。

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