インダクタガイド

インダクタ開発秘話【第1回】LQHの誕生と特異な形状

ずいぶん昔の話ですが、今から30数年前に北陸の小さな関係会社から巻線チップインダクタLQHの本格量産開始の産声が上がりました。今では多くのインダクタメーカーがLQH型を生産していますが、当時はムラタだけがこの形状のインダクタを開発生産していたのです。

現在のLQHの原型とも言えるのが、この時代の初代5025サイズ(5.0mm×2.5mm)と二代目3225サイズ(3.2mm×2.5mm)の角型巻線チップインダクタです。普通の巻線インダクタ用のフェライトコアは丸型切削ドラムコアを使うのですが、ムラタは変わっていて、外形が角型・巻芯も角型の一発成型フェライトコアを材料も含め自社開発しました。更に、電極形状も一般的な金属フレーム端子を用いずにフェライトコアに直接電極を形成し、巻線端末を接続する独自工法を採用しました。チップインダクタとしてはちょっと変わった形状のインダクタが誕生したのです。

実はこのちょっと変わったインダクタ形状が特長となり、初代から様々なサイズと性能のラインアップを拡大していき、今のLQHシリーズとして成長していくことになるのです。以来、ムラタのチップインダクタの設計コンセプトは「Simple is Best」です。当時はインダクタメーカーとしては初参入の新参者でした。先行している老舗のインダクターメーカーと同じような物や同じような造り方ではとてもとても太刀打ち出来ません。無駄と思える部分を全てそぎ落とした極限シンプル構造、それがLQHの出発点となったのです。「いつかは老舗メーカーを追い越して最後に笑おう」飲み会でよく言っていた言葉でした。

さまざまな改良も加えてきました。同じ物を30数年作ってきたわけではありません。その時々のお客様のご要望や使用方法の変化に合わせ改善改良してきました。いろいろな材料と形状のフェライトコアが生まれました。さまざまな工法の直付電極が生まれました。それらが新しい性能を生み出し新商品として数多く巣立っていきました。

しかし、基本設計である「Simple is Best」構造はそのままです。シンプルであれば作り易い、シンプルであれば機械化し易い、シンプルであれば高速化し易い。巻線チップインダクタで、今でもMade in Japan はムラタだけではないでしょうか?
でも昨今の異常な円高で いつまでもそうは言っていられないのですが・・・・・・ 

まだまだ現役の二代目LQH32M 32年続くロングセラー商品

執筆:村田製作所 EMI事業部 第2商品開発部 T.M.

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