インダクタ (コイル)

インダクタガイド
携帯電話を中心としたRF回路には、小型RFインダクタが使用されますが、小型RFインダクタは工法別に3タイプのインダクタに分類することが出来ます。
それぞれのインダクタには特徴があるので、今回はインダクタの特徴ならびに、選定のポイントを紹介します。
RFインダクタは工法別に、巻線・積層・フィルムタイプの3タイプに分類することができます。それぞれの外観写真を図1.に示します。
非磁性体コアに、ワイヤーを巻くことでコイルを形成します。
巻線タイプの特徴としては、High Q・低直流抵抗・大電流・大インダクタンスが挙げられます。特にQ値(コイルの品質を表す値)が高いことから、アンテナ周辺回路で使用されるケースが多いのが巻線タイプの特徴です。
非磁性シート上に、コイルパターンを印刷形成し、それらシートを積み重ねることでコイルを形成します。小型高性能、高信頼性が特徴で、RF回路全般に使用されます。
IC (集積回路)等の半導体と同じ工法 (光を当てて感光させる工法) でコイルを形成します。
小型高性能に加えて、低背・狭インダクタンス偏差・狭インダクタンスステップが特徴になります。
狭インダクタンスステップや偏差が必要とされる、高周波回路でのインピーダンス整合回路に広く使用されますが、近年はHigh Q化の取り組みも進められており、High Q品が必要とされるアンテナ周辺回路にも使用されるようになってきています。
コイルのカテゴリとしては、積層タイプと同類で取り扱われるケースがあります。
工法別RFインダクタの特徴と使用回路をまとめると、表1.のとおりになります。
表1. RFインダクタタイプ別特徴と使用回路
タイプ | 特徴 | 使用回路 |
---|---|---|
巻線 |
High Q |
アンテナ周辺 |
積層 |
小型高性能 |
RF回路全般 |
フィルム |
小型高性能 |
RFインピーダンス整合回路 |
図2.は、村田製作所RFインダクタ ラインアップ一覧になります。
巻線タイプの場合、最小サイズは0.5mm x 0.4mmと巻線タイプでありながら、小型サイズを実現しています。
フィルムタイプは、0.25mm x 0.125mmと世界最小サイズであるLQP01HQシリーズをリリースしましたが、これ以外のサイズやシリーズも多岐に渡って商品展開を行っています。
サイズ別・シリーズ別にQ値のワイドバリエーションを揃えているため、必要なQ特性に応じて最適なシリーズを選択することが可能です。
図3.にLQPシリーズのQ値比較データを示します。
携帯電話を中心としたRF回路には、小型RFインダクタが使用されますが、回路やQ値の特性に応じて最適な部品を選定する必要があります。
村田製作所は、巻線・積層・フィルムと工法別に3タイプのRFインダクタを用意しておりますので、幅広いRF回路への対応が可能です。
株式会社 村田製作所
EMI事業部 商品技術部 商品技術1課
黒川 佳宏
記事の内容は、記事公開日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。