工具の使い方と電子工作のコツ

電子工作のコツ/配線に挑戦

電子工作をするときは、基板の上に回路を作り、電池ボックスやモーター、スピーカなどの大きな部品は基板の外に置くのが普通です。そのため、工作を完成させるためには基板とこれらの部品を配線してつなげる必要があります。

今回は、電子工作でよく使うビニール線を使った配線の方法について、詳しく紹介します。

その1: ビニール線にも色々な種類がある

ビニール線は、銅線の外側をビニールで覆ったものです。
ビニールは電気を通さないので、ビニール部分であれば線がぶつかってもショートしません。
タイプや太さには色々な種類があるので、使う場所や目的に合わせて選びましょう。

タイプを選ぶ~単線とより線~

銅線が1本だけ通っている「単線」と、細い銅線が何本も入っている「より線」があります。
工作で良く使うのは「より線」のほうです。

単線
より線
配線のねじり方

より線はしなやかで配線がしやすいですが、乱暴に扱うと中の細い銅線がバラバラになってしまいます。
こうなると配線がしにくくなり、他の回路とショートしやすくなるので、きれいにねじってまとめてから配線しましょう。

ねじりながら抜くと楽にねじれます

ビニールの部分を抜くときに、ねじりながら抜くと楽にねじれます。

太さを選ぶ

さまざまな太さのビニール線

工作キットの場合はキットに合う太さのビニール線が入っていますが、自分で部品をそろえる場合は、線の太さも考える必要があります。
細い線に大きな電流を流すと、配線が熱くなってしまうことがあります。逆に太すぎると、基板の穴に入らなかったり、せまい所で曲げるのに苦労したりすることがあるので、工作に合った太さの線を使いましょう。基板の穴はだいたい1mmぐらいなので、1.6mm前後の太さのものが使いやすいでしょう。

その2: きれいに配線する

配線の長さ

線の長さがちょうどよく、また、いくつかの線がある場合はそろっていると、見た目がとてもきれいになります。電気や信号の流れが目で追いやすくなるので、配線ミスも起こりにくくなるでしょう。

長さの目安は、配線する長さ+長さの1/4ぐらいのゆとり+はんだ付けに必要な長さ (2cmほど) です。
あまり短いと、つなぎにくくなったり、やり直しが難しくなったりします。

こて先の熱をしっかり伝える

銅線の先に熱が伝わっていないままではんだ付けをすると、表面だけにはんだが付いて固まり、表からはきれいに見えても、裏側にははんだが付いていない時があるので注意しましょう。

ビニール線は、銅線が熱を逃がしやすいので、はんだが付きにくいときがあります。
写真のように銅線の先に熱が伝わっていないままではんだ付けをすると、表面だけにはんだが付いて固まり、表からはきれいに見えても、裏側にははんだが付いていない時があるので注意しましょう。

ただし、しっかりとはんだが流れるまではんだごてを当てていると、ビニール線はかなり熱くなります!
やけどしないように、はんだ付けする場所から遠いところを持ったり、ラジオペンチで挟んで持つなど、工夫をしましょう。また、はんだごてをビニールに当てると溶けてしまうので気をつけましょう。

その3: 配線を途中でつぎ足す

作り方によっては、線を途中でつぎ足すことが必要になる場合もあります。
また、配線を間違えてしまった時も、線をつぎ足す方法を知っていると便利な時があります。
そんなときのために、簡単で丈夫なつなぎ方を覚えておきましょう。

①2本のビニール線を長めにむいて、しっかりねじる
②両方の線をU字型に曲げる
③お互いを引っかけてつなげ、外れないようにさらにねじる
④しっかりねじったら、はんだ付けをして固定する

 

つぎ足した部分は、他の部分や配線と接触したりショートしないよう、ビニールテープなどで巻いて絶縁しておきましょう。

その4: シールド線に挑戦

マイクなどに使うシールド線は、2本分の線を1本にまとめた、特殊なビニール線です。

シールド線の中身は?

中心となる線を包むように、もう1種類の線が入っていて、さらにビニールで覆われています。

シールド線の中身は?
シールド線の中身は?

マイクの信号はとても小さいので、少しの雑音 (ノイズ) でも影響を受けてしまいます。そこで、線を二重にすることで、中心の線に伝わる雑音を減らす効果があります。

どうやってむくの?

①中の線を切らないよう、外側のビニールの部分だけに軽く刃をあてて慎重にビニールを切る
②ゆっくり引き抜いて、外側の線をほぐす
③外側の線と内側の線を別々にねじる

 

その5: 熱収縮チューブでショートを防ぐ

配線をすると、はんだ付けをした部分はむき出しになってしまいます。
この部分がショートするのを防ぐために、ビニールテープを巻いて絶縁する方法がありますが、もっときれいに仕上げるために「熱収縮チューブ」を使う方法を紹介します。
熱収縮チューブとは、ドライヤーや専用のヒートガンで熱を加えると縮んで細くなる絶縁材です。

①ビニール線にチューブを通した状態ではんだ付けをする
②はんだ付けした部分にチューブをかぶせる
③熱を加えて縮ませる

 

LEDにビニール線や抵抗器を直接つなげる場合なども、リード線やはんだ付けした部分がショートしやすくなってしまいます。
そこで、熱収縮チューブをかぶせて絶縁処理をすると、見た目が良くなり、ショートも防げます。

 

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