カーエレクトロニクスの未来

変化する自動車市場に応えつつ、ムラタらしい製品開発を目指す

自律運転やxEVといった自動車の進化には、エレクトロニクス技術が欠かせません。
未来のクルマの鍵を作り出す、ムラタのビジョンをお届けします。

※2018年インタビュー当時の役職です。

取締役 常務執行役員
技術・事業開発本部 本部長
岩坪 浩

 

電気自動車、安全システム、インフォテイメントの分野で高まる市場のニーズ

近年、エレクトロニクス化が進む自動車市場においては、国と消費者、両方の異なるニーズに応えることが求められます。各国政府は近い将来、ディーゼルやガソリン車への規制を厳しく行う予定であることをはじめ、安全性の基準を満たすことを第一に考え、一方で消費者は、車内における快適さの向上を求める傾向にあるのです。両者のニーズを満たすためには、電気自動車や安全システム、インフォテイメントに関する技術的な革新を起こす必要があるといえるでしょう。

 

市場のニーズに伴い、右肩上がりに成長するムラタの自動車向け事業

このように加速度的に拡大する市場のニーズに伴い、ムラタはECU(電子制御ユニット)向けをはじめとする高信頼性の受動部品、先進安全に対応したセンサなどの自動車向け製品の開発に力を入れて参りました。お陰様で売上も、年率10%以上の成長を持続。2018年には、自動車向け製品の売上は2000億円に達する見込みです。
このような右肩上がりの成長を実現してきた背景には、技術開発においてフィールドテストを繰り返し実施してきたという地道な努力があります。例えば、ジャイロ、加速度、角度センサを組み合わせたコンボセンサによって、自動運転や慣性航法の精度アップに成功。ギアをバックに入れた際にソナーとして使われてきた超音波センサのデータは、自動駐車の的確さにつながっています。

他ジャンルからの応用ではなく、一からの自動車向け製品を生み出す

こうして見ると順調そのもののように感じるムラタの自動車向け事業ですが、実はこの売上の大半を占めているのは、当社がもともと持っていた製品の応用に過ぎません。一から自動車向けとして開発したものではなく、コンデンサセラミック発振子EMIフィルタなど、民生用途の製品を自動車にも使えるものとして応用開発をした製品なのです。もちろん、横滑り検知のセンサ圧電の超音波ソナーなど自動車向けとして開発した製品もありますが、全体から見るとごく一部に過ぎません。
売上が堅調に伸びているのはとても喜ばしいことではありますが、新しく自動車向け製品を生み出していくことは当社の一番の課題だといえるでしょう。既存の製品や事業を出発点とするプロダクトアウトだけではなく、自動車市場の視点に立って新たな開発を行うというマーケットインの姿勢も強化していきたいと考えています。

 

ムラタだけでできること、社外とのパートナーシップで成功できること

自動車向け事業に限らず、技術開発においてムラタが大事にしているのは、外のパートナー企業との協力を密にすることです。新しくやりたい事業が定まったら、まずはムラタの技術だけでできるかどうかを考えます。できないと判断が下れば、社外のパートナーに協力を仰ぎ、技術を投入するのです。当社だけで完結するより、アウトプットの数が増えることは間違いありません。
価格競争力が求められる中での開発領域に投下できる費用の問題、ますますスピードアップする技術進化や環境変化への対応など、かつてとは違った環境が我々を取り巻いている現在。国内の企業のみならず、国外の研究機関や大学などの外部パートナーとの協力体制は成功の秘訣であるといえるでしょう。
また、ムラタは、OEMやTier1メーカーとの対話を大切にしています。自動車市場は、激化の一途をたどるグローバルな戦いです。お客様との対話を続けることで、自動車そのものや市場への理解をより深めるとともに、お客様が真に欲しているものは何なのかが見えてきます。

スピードアップする市場の変化にどうやって追いつくかが技術開発の課題

10年前、20年前と比べて、市場の変化のスピードは圧倒的に早くなっています。自動車向け製品にはこれまで以上に厳しいスペックが求められるのです。こうした変化にどう追いつき、即座に具体的な打開策を出していけるかが、これからの技術開発の課題になるでしょう。自動車業界に向けたこれまでの実績に加えて、意欲的に技術革新に取り組み続けるムラタ。今後はより精力的に、いち早く次のテーマを見つけ出し、パートナーとの協力を深めながら、当社らしい自動車向け製品を一から開発していきたいと考えています。

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