インダクタガイド

インダクタ開発秘話【第6回】ブランコから生まれた新商品

携帯電話がドンドンと小型化薄型化していった時代(軽薄短小と言ってました)には当然ながら電子部品にも小型化低背化が求められました。そんなに小さくなるのなら一回りでなく二回り以上小さいインダクタを開発してみようと思い立ちました。思い立つのは簡単ですが、これが地獄の商品開発の始まりでした。

当時の巻線インダクタ小型化は2520[mm]サイズが求められていて、当然ライバル各社もこのサイズの新商品開発を目指すと予想されました。しかし、我々は一気に2016[mm]サイズに跳んで世界最小巻線パワーインダクタに挑戦することにしました。部品高さもこだわりました。当時は1.5mmが主流で将来的には1.2mmが求められていましたが、やっぱりここでも1mmを切って0.95mmMaxと0.7mmMaxの世界最小低背の大きなインパクトのある新商品サイズを開発目標としました。

「言うは易し行うは難し」明言通りの開発スタートとなりました。次から次へと襲ってくる課題に対して一つ一つ解決していきましたが、最後の難関は超小型電極設計でした。ちょうどその頃、はんだの鉛フリー化が始まっていたので、鉛フリーはんだ部品設計も必須となりました。【第5回】LQHはんだ付け実装技術の推移で紹介した新電極工法による低コスト設計と鉛フリー化の課題を同時に抱え込むことになったのです。

休日に子供と一緒に公園に居ました。頭の中は電極設計の問題で一杯です。どうしたら解決できるのか、アイディアはないか、そんなことを考え続けていました。子供との遊びは上の空です。さすがに子供も気がついたのでしょう。「お父さん!つまんない!」と言ってブランコを飛び降り、別の遊具の方へ走っていきました。それでも私はジーっと考えていました。私の目の前を、ゆらゆら揺れるブランコが足元の水溜りの上を行ったり来たりしていました。その時です。動くブランコの板、水溜り、私の目、が一瞬にして電極工法装置と重なりました。「そうだ!動かせばいいんだ!」おそらく0.1秒の世界で、ブランコの原理を使った精密電極形成技術を思いつきました。おまけに、この方法だと、はんだはおろか鉛フリーはんださえも使わない、はんだレス工法にできることも閃いたのです。この瞬間は今でも鮮明に覚えています。

あ!、もちろん、それからあわてて子供を探しに行きましたよ。

今でもこのサイズの巻線パワーインダクタで世界最低背
<今でもこのサイズの巻線パワーインダクタで世界最低背>

EMI事業部/第4セラミック製造部 T.M.

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