インダクタガイド

インダクタ開発秘話【第4回】国内で初めての空芯横巻きコイル

現在、みなさんが使用されている携帯電話の中身を見ると、ほぼ横型巻線空芯コイル:LQWシリーズが搭載されています。部品をコートしている樹脂が青く、目立つのでわかりやすいです。この部品は特性が良く、様々なお客様で重宝されています。
昔、お客様がクレームで来社された時にも、「この部品じゃないと、セットの特性が出ない!だから、クレーム対応を頑張って欲しい。」と言われたことがあります。当時は、クレーム対応していた時だったので、"だったら、クレーム付けないで・・・"と思っていましたが、今考えるととても有難いことだと思います。
高周波インダクタの中で異形部品と言われたこの部品がこんなに使って頂けるまで成長できたのは、いろんな方々のご協力があってこそでした。
今回は開発時のエピソードの一部をご紹介します。

私が入社した時には、これから携帯電話が出てくるという時期でした。同業各社もこの市場に全力で商品ラインナップを揃えてきていました。その時のトレンドは小型で、同業は積層工法等を使って、小型化を推し進めていました。一方、私が配属された係では巻線インダクタを担当していて、昔ながらの巻線工法は、このトレンドについて行けるのか?と言ったことが議論されていました。しかし、当時の上司の方々の強い意志もあり、小型巻線インダクタの開発を行うこととなりました。

小型化における一番の問題は、ワイヤーをコアに巻くことです。当時 最小サイズ(1.6×0.8×0.8mm)のコアだったので、とても難易度が高く、社内の生産技術部門でもトライして頂きましたが、うまく行きませんでした。部門内でも、そもそもできない技術なのでは?と言われ始めていました。

そんな中、とある巻線機メーカーが、できる見通しをつけてくれました。私たちにとっては、とても有難いことでした。その設備はシンプルで、精度が良く、私たちが必要とする機能を果たしてくれました。そのおかげで、商品化を行うことができました。
後日、巻線機メーカーの偉い方とお酒を飲んだ時に聞いた話ですが、メーカーの方も企画の段階では、この巻線機ができるとは思っていなかったそうです。しかし、とある技術者の方が、大きな模型のコア(30cmくらい)を持ってきて、これに巻線する設備のイメージを熱心に語ってくれてそうです。その熱意と大きな模型を見て、案外できるかも?と思い直し、企画を進め巻線機が出来上がったそうです。
この技術者の方のプレゼン力と熱意に本当に感謝です。
この方々との出会いがなければ、この部品は商品化されていなかったと思います。
いろんな人が繋がりあって仕事を達成できるといういい機会が得られたと思い、今でも関係者の方々に感謝です。

LQW18Aシリーズの外観写真

執筆:EMI事業部 第1商品開発部 T.T

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