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インダクタの応用製品【第3回】 デバイダ、カプラとは?

インダクタの応用製品3章 デバイダ、カプラとは?
今回はシリーズ「インダクタの応用製品」からデバイダ、カプラをご紹介いたします。

デバイダ、カプラとは?

デバイダ、カプラは高周波信号を2つの系統に分岐する分配器(回路)です。スプリッタという言い方もあります。身近なものではDVDレコーダー、テレビやCATVのセットトップボックス(STB)に使われます。レコーダーではテレビにアンテナケーブルをつなぐために「RF出力」というコネクタが出ていますが、それが分配器の出力ですし、チューナを2個搭載してテレビ番組を裏録したり2画面で視聴する場合は機器に分配器が内蔵されます。
カプラはCATV STBでインターネット専用やOOB(Out of Band)用のデータ系チューナが搭載される場合に必要となります。

【ブロック構成:ダブルチューナの例】

 

【ブロック構成:CATVチューナの例】

 

デバイダ、カプラの特長、構造

1つの信号を入力して2つの出力に分配するのが基本的な機能です。
明確な一般定義はありませんが、弊社では、デバイダは分配された2つの出力の分配比が1:1で同じレベル(等分配)のもの、カプラは分配比が1:nで2つの出力レベルが異なるものと考えています。
前節で説明した使い方のように、デバイダは同じ受信系(チューナ)が2系統必要な場合に用います。一方で、カプラは映像系とデータ系といったようなデータの伝送速度が異なる系統に分岐するときに用います。これは伝送速度が遅いデータ系の分配損を大きくし、映像系の分配損を出来るだけ小さく設計して受信感度を高め、高品位の映像を提供する意図で考えられています。

【カプラ構造図】

 

デバイダ、カプラの重要な特性

重要な特性は3つ挙げることができます。

先ずは挿入損失です。デバイダは回路の最も前段に配置されることが多いので挿入損失は重要な特性です。1:1の等分配であれば計算上では-3dBの損失が理想値となりますので、それに如何に近づけるかが良否の判断となります。挿入損失が悪いと受信感度に影響します。
カプラの場合は、分配する比率によって2つの出力の損失量が変わります。したがって、分配比率や損失はチューナの受信感度を考慮して決定されるのが理想的です。

2つ目はアイソレーションです。アイソレーションとは2つの出力間同士の干渉の度合いを表します。アイソレーションが悪いと片側のチューナから漏れ出た不要なノイズ成分がもう一方のチューナに逆流して妨害を与えることになります。善し悪しの判断は構成されるチューナの内部回路によって様々ですが、20dB以上あれば実用上問題ないことが多いです。

3つ目はリターンロスです。リターンロスは入力側を議論することが多く、例えばCATVのケーブルをつなげる場合を想定すると、CATVの規格としてリターンロスは6dB以上でなければならない、と規定されることがあります。したがって、この条件をマージンを持ってクリアする実力が必要になります。仮にリターンロスが悪い機器がCATVケーブルに多数接続されたとすると、それぞれの反射波がCATVケーブルに逆流して流合雑音と呼ばれる成分を生成し、ケーブル全体に伝わりサービス全体の信号品位を乱すと言われています。ですので、デバイダもそれに配慮した特性を満たす必要があります。

商品の紹介

先にカプラの紹介をします。弊社ではDXP18CNシリーズで商品化しており、カプラ出力側の損失が-10dBのものと-15dBのものをラインナップしています。
映像系チューナとデータ系チューナの感度特性にマッチする方を選択して下さい。

 

一方、デバイダですが弊社では単一の部品としてのラインナップはなく、下図のような回路で提案をしています。これは既存のコモンモードチョークコイルを応用した回路で、アイソレーションを確保するため出力端子間にR、Lを直列に接続する回路です。この提案の意図は簡単な回路を組んで頂くだけで低コストで必要な特性が実現出来ることです。弊社として部品レベルでデバイダ特性の保証は出来ないのですが設計のための技術情報の提供は可能です。

【デバイダ推奨回路】

コモンモードチョークコイル : DLW21SN181SQ2使用

【特性データの例】

【分配ロス】
【出力ポート間アイソレーション】

このような使い方があります。

まとめ

デバイダ、カプラはテレビやレコーダー、CATVの受信系でチューナを複数搭載する場合、欠かせない部品です。村田製作所がご提案するデバイダ、カプラは小型で高性能が実現できます。
今後も新しい技術、新しい部品を開発しベストソリューションのご提案が出来るよう、努力してまいります。

 

執筆 : 株式会社村田製作所 コンポーネント事業本部セールスエンジニアリング統括部
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