カーエレクトロニクスの未来

技術力の優位性や経験をさらに発展させていくモジュール事業

自律運転やxEVといった自動車の進化には、エレクトロニクス技術が欠かせません。
未来のクルマの鍵を作り出す、ムラタのビジョンをお届けします。

※2018年インタビュー当時の役職です。

代表取締役 専務執行役員
モジュール事業本部 本部長
中島 規巨

 

今、自動車市場が求める“3つのニーズ”に応えることが最重要

自動車市場の変化は年々スピードを増してきています。これに伴い、自動車向け製品にはより高い性能が求められようになりました。こうした変化のスピードに追い付き、市場のニーズにリアルタイムで応えるためには、トップクラスのエレクトロニクス技術が必要不可欠です。特に現在、自動車市場においてニーズが高まっているのが、自動車による事故災害をゼロにすること、再生エネルギーを使った環境保全、そして車内の快適性やエンターテイメント性を高めること。ムラタが手掛ける電子部品の分野においても、3つのニーズに応えることは最重要課題だといえるでしょう。

 

“3つのニーズ”すべてに、これまでの実績の応用で貢献

この3つのニーズに対して、ムラタのモジュール事業ではさまざまな電子部品を提供することで貢献しています。

1点目の「自動車による事故災害をゼロにする」というニーズには、ムラタ独自の通信技術を駆使することで対応を可能としました。

2点目の「再生エネルギーを使った環境保全」という課題については、パワートレインの電装化に伴う電池を含むエネルギーのマネジメントに集約されるでしょう。当社は独自技術を活用した安全性やエネルギー密度の高い電池の開発に取り組んでいます。

3点目の「車内の快適性やエンターテイメント性を高める」というニーズ。これに応えるためには、車内という限られた空間の中で配置の自由度を上げるべく、ネットワーク装置の小型・薄型化、高温対応化が求められます。特に通信モジュールやセンサを小さく作り込むことは、すでにスマートフォンの分野で実績があり、ムラタの得意とするところです。その技術を応用し、スマートフォンとヘッドマウントディスプレイのシンクロナイズをはじめとするエンターテイメントを通信ネットワークで実現しています。

このように、自動車市場が望む3つのニーズのいずれにおいても、小型・薄型、積層、微細加工といった、ムラタのモジュール事業においてこれまでに培ってきた技術力を駆使することで貢献することができるのです。

特に重要度が高いのは、「自動車による事故災害をゼロにする」こと

3つのニーズの中でも特に重要度が高いのは、「自動車による事故災害をゼロにする」という、誰もが願うテーマです。この実現のためにムラタは、自動運転の技術を背景に、より安全性能に富んだ通信モジュールやセンサの開発に日々取り組み、市場へ提供し続けています。

例えば、「安全走行」というテーマでいうと、車外のカメラ、レーダーや超音波ソナーなどによって得られるセンシングデータは、自動車が他の自動車や壁などのインフラ、そして何より人とぶつからないために欠かせません。それだけではなく、心拍、モーションなどのドライバーの生体環境をセンシングしたデータも、体調に応じたアラートを出すことなどによって安全性を確保するために必要不可欠です。このようなデータをいかに正確に、いかに早く、そしていかに信頼性の高い通信網で届けられるかが、安全走行の実現と車内の快適性を高めるためのポイントとなります。

さらに、ムラタが提供する慣性センサはブレーキ周りの横滑り防止やエアバッグの作動に役立ち、超音波センサはスムーズな自動駐車の実現に寄与。こうした非常に精度の高いセンサも事故災害ゼロをサポートしているのです。

 

自動車市場の変化を捉え、新しい技術を先行して投入していきたい

スマートフォンの買い替えサイクルはせいぜい2〜3年ですが、自動車はその比ではありません。長年使う自動車であるからこそ、市場の変化には敏感にならなければならないのです。新しい技術を先行して使っていかなければ、技術競争力の低下を招いてしまいます。

通信モジュールについては、無線システムによる用途に応じた対応が必要です。例えばスマートフォンの通信ではWi-FiやBluetoothがよく使われますが、衝突防止にはRaderやLidar、路車間・車車間の通信にはIEEE802.11pやLTE、5G (LPWAN) が求められます。これらの通信技術においても、先行するスマートフォンでの経験を基に、自動車向けに積極的に展開していく所存です。

また、センサの精度の高さは今後も求められ続けるので、製品ラインアップを広く持ち、培ってきた技術を応用していきたいと考えています。

このように、研究開発に並々ならぬ力を注いできたことにより実現できた幅広いラインアップがムラタの強みだといえるでしょう。自動車市場において急激に必要性が高まるエレクトロニクス技術。その中心を担うべく、ムラタの技術力の優位性や経験による知見をさらに発展させていこうと、社員一同、気持ちを新たにしています。

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